■シェヒッド・ナミリン(烈士は死なない) 2
![]() 【ゲリラが戦死するとPKKゲリラ部隊HPGのサイトで本名、出身地、両親の名前が公表される】(HPGのウェブサイトから) |
PKKのゲリラ部隊は、HPG(Hêzên Parastina Gel=人民防衛隊)という。
HPG総司令部はウェブサイトで軍事声明や攻撃の詳細を明らかにしてきた。それは「大本営発表」ではあるものの、ゲリラの動きを知る手掛かりのひとつではある。
ゲリラは携帯式の衛星通信システムを持っていて、奥深い山からインターネットによるデータ通信をおこない、ウェブサイトもゲリラキャンプから更新している。
ゲリラは入隊するとまず個人データが作成され、顔写真とともにパソコンにファイルされる。すべてのデータが明らかにされるのは、そのゲリラが死んだときだ。シェヒッド(烈士)としてゲリラ名とともに、本名、出身地、戦死した場所と日付が列記される。以前取材したことのあるゲリラが戦死したことをこのサイトから知ったこともあった。
2年ほど前からこのサイトにある変化が起きている。ゲリラの戦死情報にくわえてゲリラの両親の名前までが表記されるようになったのだ。
![]() 【PKKのシェヒッド追悼墓地にあるゲリラの墓】(2003年/イラク・クルディスタン−カンディル/撮影:坂本卓) |
中東では身分証明や公式書類に父母の名前を書き込むのが一般的だが、ゲリラの両親の名前を公表すれば、たとえ本人が死んだあとでも、治安機関は調査にとりかかる。トルコ、シリア、イランでは、PKKのメンバーであることを理由に家族が逮捕されることも珍しいことではない。こうしたことをわかっていてPKKは公表を始めた。
トルコでは警察の拷問はかつてに比べて格段に減少したが、PKKメンバーの家族に対しては、「テロリストの協力者」として、いまも厳しい取調べがおよぶことがある。
戦死したゲリラの遺体が故郷の村に埋葬されるために運ばれてくると、たいていの家族は軍や警察におびえて声をひそめていた。しかし、いまでは、葬儀の列は、戦死したゲリラを「英雄」と称える追悼デモに変わることも少なくない。
葬儀に集まった若者たちがこぶしを振り上げて叫ぶスローガンは、「シェヒッド・ナミリン」(烈士は死なない)だ。
ゲリラとして死んだ息子や娘を、一家の「誇り」として公然と表明する家族もではじめていることは、人びとの意識が変わってきたことを示している。
(続く)
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)





