rimjingang-No2-hs-s.jpg
季刊誌 北朝鮮内部からの通信〜リムジンガン 第2号・夏号
ご注文はこちらへ


ico_new.gif北朝鮮―「私は政治犯収容所に10年いた」 リムジンガン
北倉(プクチャン)18号管理所出所者の証言 11
「第18号管理所」事件
醜い勢力争いが止むことのない朝鮮では、まともな人間が一夜のうちに逆賊に仕立て上げられたり、忠臣になったりする。政局は不安定になり、連日のように政治事件が起こる…

ico_new.gif北朝鮮経済官僚極秘インタビュー リムジンガン
我が国の経済動向 11
改革をはばむ権力者の不正腐敗
外部では、朝鮮に「変化がある」と見る意見と「変化がない」という意見に分かれているが実際はどうなのか?
ケ・ミョンビン:変化がないといえば語弊があるが、ではどんな変化があるのかというと…

ico_new.gif北朝鮮―「私は政治犯収容所に10年いた」 リムジンガン
北倉(プクチャン)18号管理所出所者の証言 10
「龍城事件」
以前に書いたように、党・国家の幹部を数知れず葬り去ったことで朝鮮社会に轟いた「龍城(リョンソン)事件」が、実はでっちあげだったことが明確になったことにより…

ico_new.gif北朝鮮―またも始まった市場の「抑制」 リムジンガン
「民衆はだんだん嫌になっています」6
「将軍様一人だけが改革開放に反対」
シム:本当は朝鮮人みんなが改革開放だけを願っているのに、幹部の誰一人として、将軍様に一言も率直に言わないんだからな……

北朝鮮―軍人による女子大生暴行殺人事件 [事件・事故] リムジンガン
二〇〇六年夏のある日の晩、清津(チョンジン)市にある軍官学校(士官学校)近くを通りかかった女子大生が、数人の軍人に拉致され、暴行されて殺害された…

もっと見る

坂本卓のクルディスタン日誌〜PKK-PJAKと武装闘争路線

APN_080303_sakamoto_001.jpg
【PKKのイラン組織PJAKに参加するためイランに向かう女性ゲリラ部隊】(2003年撮影/カンディル/イラク・クルディスタン/撮影:坂本卓)
■PKK-PJAKと武装路線

かつてはPKKはトルコ軍に攻撃されるとイランに逃げ込んでいた。トルコでの攻撃をくり返しては国境線に消えるPKKを、トルコ軍は歯がゆい思いで見ていた。

2003年、イラク戦争後の中東の新たな政治状況をうけ、PKKはイランでの武装組織建設という方針を打ち出し、PJAK(Partiya Jiyana Azad a Kurdistane =クルディスタン自由生命党
پارتی ژیانی ئازادی کوردستان ) を建党した。(Jiyanは「生活」という意味もあるがここでは「生命」「人生」という意味合いが強いので、「自由な生命、生き方を求めるための運動」ととらえるのが言語の意義に最も近いと思う。ちなみにPJAKはペジャクと読む)

PJAKがイラン軍や革命防衛隊への襲撃や暗殺を開始すると、イラン軍はPKK取り締まりを強化する。

イラン軍、トルコ軍が暗黙の連携によって、PKKでを国境で挟み撃ちにするようにもなった。これまでイラクからイランに抜けることができたゲリラが使う山岳の「けもの道」でさえイラン軍によって封鎖された。また国境地帯のPKK前線拠点フネレへは、イラン軍が連日、迫撃弾攻撃を加えている。

PKKはKADEK(クルディスタン自由民主会議)を経て、2003年、KONGRA-GEL(人民会議)へと組織再編をしたのだが、なぜイランでの武装闘争路線を打ち出したのか、そしてなによりPJAKの政治的獲得目標がまったく不明瞭であった。イランでの武装闘争に反対だった幹部やゲリラの一部はPKKから自ら脱退するか、党から放逐されるかのいずれかの道をたどった。


APN_080303_sakamoto_002.jpg
【PKKがイランで結成したPJAKのウェブサイト(FILE)】

その後、イランでの非合法路線は強化され、大衆党ではなく、徹底して武装革命党づくりが進められる。
10年ほど前には、イランはPKKが国内で活動さえしなければ、国境内の山中に限定した軍事キャンプを設けることは「黙認」していた。隣国トルコに緊張を強いる道具となりえるからだ。

「クルディスタンを分断するそれぞれの国にあわせた闘争方針を打ち出す」とPKKはするが、なぜいま、イランで武装闘争が必要なのか、明確ではない。なによりPKK自身が、明確にしていないのだ。

「PKKがイランで武装闘争を急激に過激化させたのは、アメリカの思惑に応えるためだ」「PKKをアメリカが支援している」という記事や分析がここ数年、トルコメディア、クルドメディア、そして欧米の一部研究機関にも見られるようになった。アメリカはPKKをテロ組織としているものの、イランを撹乱させてくれるのであれば、「有効に使えるカード」と認識している、という見方だ。

これがたとえ事実としても、アメリカが意図的にPKKを操っているのではなく、むしろPKK側がアメリカに自身の存在価値を認めてもらおうという保身術的な要素が強いのではないか。イラク・クルドで政治家や組織を取材しながら、少なくない数の人びとがこうした認識を持っていることを感じてきた。

アメリカにとっては、イラン政府を揺さぶる有効なクルド勢力とは、KDPI(クルディスタン民主党イラン)やコマラが前提であり、PKKではない。レバノンのヒズボラはイランやシリアの後ろ盾のもとに活動をしているといわれるが、PKKにはもう何の後ろ盾もない。

あたかも自ら意図して利用されるかのようにしながら存在を維持し、またそうせざるをえないかのような状況に、いまPKKはあるのではないだろうか。それは世界に無視され続けてきた悲しきクルドの歴史そのものであるようにも見える。

<<前 | 次>>
***********************************
イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)