北朝鮮内部からの通信 リムジンガン(日本語版) 記者会見 石丸次郎
![]() 【外国特派員協会でのリムジンガン(日本語版)創刊記者会見には70人をこえる報道陣がつめかけた】(2008/4/3/東京・有楽町・日本外国特派員協会) ©ASIAPRESS |
4月2日(大阪)、3日(東京)と、リムジンガン(日本語版)創刊の記者会見を開いた。
大阪には、報道各社10社、東京の日本外国特派員協会での会見には、国内外のメディア30社以上、70人が取材に訪れ、人権団体や駐日外国大使館、研究者らも来場した。
私とともにチェ・ジニ(崔真伊)リムジンガン朝鮮語版編集長が、創刊の経緯と、どのようにリムジンガンが作られていくか、そして北朝鮮内部で秘密撮影を続けるジャーナリストたちについて紹介。内部からの報告がいったいどういう意味を持つのか、北朝鮮社会にどのような変化をもたらすのか、について説明をおこなった。
北朝鮮の実情を北朝鮮人ジャーナリストたち自身が国内で取材し、世界に向けて発表するということの意味、意義については、以前、朝鮮語版発刊時に「リムジンガン創刊辞」として紹介させていただいた。
会見では、北朝鮮人ジャーナリスト、リ・ジュンのインタビュー映像に加えて、リ・ジュンらが首都平壌(ピョンヤン)の裏通りを極秘撮影した最新映像を紹介、政府の統制をはずれて、独自の市場主義経済がすでに北朝鮮内部に浸透しつつある実態について解説した。
近年、メディアが流す北朝鮮に関する報道の量はかつてに比べて格段に増えた。だが、私たちは、これら「北朝鮮情報洪水」のなかで、北朝鮮の何を知ることができただろうか。これまでメディアが描いてきた”画一的な北朝鮮像”からは、北朝鮮の実像は何も見えてこない。増えたのは「量」だけであって、「質」の点から見れば、私たちは、なんら北朝鮮という国のことを、そしてそこに暮らす隣人、北朝鮮の人びとのことを知りえていないといえる。
北朝鮮人ジャーナリストたちの登場、そしてリムジンガンの創刊は、こうした流れに一石を投じるものとなろう。北朝鮮人自身が取材し、記録し、伝える北朝鮮こそ、外部世界の人間が知りえない、北朝鮮の核心にもっとも迫るものとなるに違いない。
![]() 【リムジンガンについて説明する筆者(左)とチェ・ジニ(崔真伊)朝鮮語版編集長(右)】©ASIAPRESS |
情報鎖国の北朝鮮では、北朝鮮人自身が自分の国で何が起きているのかを知らないし、知ることができない。人間が日常生活を営むということは、喜びや悲しみ、不満は当然抱くものである。
だが、北朝鮮では、人間としての「普通の」気持ちを表現し、伝える媒体はまったく存在しなかった。こうした人びとにとって、リムジンガンが表現の場となることを、私は期待している。
北朝鮮人自身が作り上げるジャーナリズムは、近い将来、きっと北朝鮮に根を張り、花を咲かせることになろう。そして、私たちがそれを支援していくことは時代の要請でもあると感じている。
北朝鮮人ジャーナリストたちによる内部からの通信、という世界初の試みは、いまも試行錯誤で進めている。生まれたばかりの雑誌には、稚拙な部分がまだいくつもあるが、現地から報告を送り続ける内部記者たちの熱い思いは、実際にリムジンガンを手にとってお読みいただければきっと感じとっていただけると思っている。
石丸次郎
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