![]() 【陽気なロマの女性たち/エディルネ郊外】撮影・玉本英子 |
イスタンブールの路上で、赤ちゃんをひざの上に寝かせながら物乞いをする女性を見かけた。褐色の肌に黒い瞳。金色のイヤリングが揺れている。
「あれはチンゲネだよ」
トルコ人の友人がささやいた。
トルコではロマ(ジプシー)はチンゲネと呼ばれる。トルコには推定50万〜300万人(トルコ人権協会統計)のロマの人びとが暮らす。
ジプシー音楽や映画が注目され、ヨーロッパのロマへの関心は高まりつつあるが、トルコのロマの存在はあまり知られていない。調査や研究もほとんどされていないのが現状だ。
イスタンブールからバスでおよそ4時間。ロマの大きなコミュニティがあるトルコのヨーロッパ側地域を訪ねた。ギリシャ、ブルガリア国境近くの街エディルネの人口は約12万、うち4万人はロマといわれる。
市内には12のロマ居住区が点在し、音楽師、馬車の荷運び屋など地区ごとに同じ職業を持つ人たちが寄り添うように暮らしている。
街のはずれの墓地沿いにあるケミックジ(骨人)地区。かつて、この地区の住民が食用肉の解体で余った骨を集め、櫛(くし)などの原料として廃品業者に売っていたことからその名がついた。
現在、住民の多くは鉄くずなどを売って、生計をたてている。地区のあちらこちらには錆びた廃車や鉄くずが山のように積み上げられていた。 (続く/ 全8回)
(※「ジプシー」はロマを侮蔑的に表現する用語とされていますが、本稿は、ロマの状況や人権問題について記述することを主旨としており、文中、あえて「ジプシー」という表記もおこなっています)
特選アーカイブ(2001年初出 配信)
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