![]() 【米屋の在庫は豊富だが…】(撮影:大村一朗) |

イラン国内に見る食糧価格高騰 (1) (08/06/23)
イラン国内の激しいインフレについては前々回に触れたが、それはこの国の主食である米についても例外ではない。
イランでは米はおおまかに、1級米、2級米、外国米などに分類されるが、とりわけ1級米はこの1年で3倍以上も値上がりし、1キロの値段が5000トマン(約600円)するものも珍しくない。2級米はその半額ほどで、主にインドやパキスタン、タイから輸入される外国米はさらに安い。
一週間も新聞の経済欄を注意して見ていれば、米の価格高騰の原因についてはあらかた知識が入る。
例えば、
(1) 世界的な食糧価格高騰の一環に過ぎず、輸入米の価格が上がったため。
(2) 昨年の降水量が少なく、今年、市場に出回っている国内産米の量が例年に比べて少ないから。
(3) 今年の降水量が少なく、来年市場に出回る米が少なくなることが予想されるため、国民が買貯めに走っている。
(4) 米の価格を吊り上げるための経済マフィアの暗躍。
(5) 政府内にインサイダー取引を行う者がある。
(1)については、政府がさかんに繰り返してきた主張だが、イラン人はそもそも外国米をほとんど食べないと言っていい。「イラン人にとって米に代わる食べ物はない」と言われるほど、彼らは独特の香りを放つイラン米に固執する。あまり人気のない外国米の価格が国内産米の価格全体にこれほどまでに影響を及ぼすとは考えにくい。
(2)についてはどうやら風評であり、(3)についてはある程度事実であるようだ。今年の水不足については、テヘランでも、季節の変わり目の雨が例年より少なかったように感じる。地方のダムの入水量が例年の数分の1であるとのニュースも目にする。そうしたことから、来年度市場に出回る米は少ないだろうと予想し、人々が買いだめに走っている。
その量が半端ではないという。多くのイラン人家庭では、普通、一気に1年分の米を買い、その量は一家族100キロや150キロにもなる。さらに買いだめとなれば、市場価格が高騰するのも無理はない。
近所の米屋に訊いてみた。すると、今年は例年に比べ、確かに米がよく売れているという。一部、人々が買いだめに走っていることも否定しないという。
しかし、だからといって米が不足しているわけではなく、倉庫には常に1級米から外国産米まで在庫は豊富にあるという。とすれば、需給関係からではなく、意図的な価格の吊り上げがどこかで行われていると見る方が妥当である。
そうしたことを踏まえ、とうとう(4)や(5)の可能性がメディアで取りざたされ、政治家の発言の中にも見られるようになった。
以前、当初、国内の米の価格高騰を、世界的な食糧価格高騰の一環であると言っていた政府が、今度は経済マフィアの暗躍を口にする。ならばそいつらを今すぐ引きずり出せと野党が噛み付くのも無理はない。(つづく)




