小倉清子のカトマンズジャーナル〜“ネパール大統領”はお断り
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マオイストが推そうと試みたラムラジャ・プラサド・シンが大統領になる可能性はすでにかなり低くなったが、パンチャヤト時代からのネパール政治を知る人間には、シンを簡単には受け入れられない理由がある。
1985年、当時から共和制支持者として知られていたシンは、カトマンズの国会議事堂や王宮前広場にあるホテルを含む複数の箇所で爆弾を爆発させて、死者を出した事件の犯行声明をだした人物である。事件当時、ネパール会議派はサティヤグラハ(非暴力)運動を全国で展開していたが、この事件のために運動を中止した。
あるいは、この運動を継続していたら、1990年よりも前に民主化が実現していたというNCリーダーもいるが、いずれにしても、途中で運動を中止しなければならなかったNCにとっては、苦い出来事だった。
シンは当時、インドから犯行声明をだしたのだが、実は、本当の首謀者はギャネンドラ王子とディレンドラ王子で、シンは王室により金で買われたのだという噂があった。
この噂は、さまざまな歴史書に書かれるほど有名な噂だが、その真偽については、今にいたるも明らかになっていない。こうした大きな汚点がある人物をなぜ、マオイストは大統領に推したのか、私自身その意図に疑問をもっていた。
1985年の爆弾テロ事件の犠牲者の一人は、私の知り合いの兄である。ホテルの従業員だったが、巻き込まれて死亡した。こうした過去のため、ネパール会議派がシンを大統領として受け入れることができないことは明らかである。
UMLはどうしても、マダヴ・クマール・ネパールを大統領にする意向のようだが、これには納得がいなかい。制憲議会選挙で大敗を喫して辞任をした人物に、なぜ褒章を与えねばならないのかと思う。
褒賞を与えるのは党がやればよい。なぜ、国民があげねばならないのか。この選択はあまりにもセンスがない。UMLはまだ「強力な大統領」を求めているようだが、報道では「セレモニアル大統領」と伝えられている。「セレモニアル」であるのなら、「バフンの男」はやめるべきである。国家元首というシンボルとしての価値が激減する。





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