![]() 【幻の大阪オリンピック…】(FILE/撮影:坂本卓) |
五輪開催地の決定がなされた2001年、人権状況などを抱えた中国が開催地となるのは難しいのではないか、といわれていた。結局、北京に決まったわけだが、中国は、かつての日本や韓国がそうであったように、オリンピックをひとつの契機に、「国力」をさらに高めていくことだろう。
さて、2008年五輪開催地には、じつは大阪市も立候補をしていた。
「おっちゃん、オリンピックちょうだい」
こんな、キャッチコピーのポスターが大阪には実際に貼られていたのだ。いま、裏ガネ問題や財政破綻で大変なことになっている大阪市が、当時は本気で招致活動をおこなっていた。北京での開会式の映像を見て、「ああ、これが大阪だったらさぞかしよかったのに」と思った大阪人は、何人ぐらいたのだろうか。もし、実現していれば、きっとタコ焼きのマスゲームや、カニ道楽とグリコの看板をイメージした壮大なイルミネーションがスタジアムに輝くのを見ていたことだろう。
じつは、このときのもうひとつ開催候補地が、トルコのイスタンブールだった。
いまでこそめざましく発展をとげつつあるトルコだが、当時は、左翼、右翼の爆弾事件はまだ頻発していたし、クルド人の人権も置きざりにされたままの政治状況で、PKKの活動も活発だった。街なかで招致看板こそいくつか見られたものの、「オリンピックなんてできるわけがない」と、市民の招致への意欲はさっぱりだった。
![]() 【発展めざましいトルコ。10年前には「まさか」だったイスタンブール・オリンピックも近い将来ありうるが、人権状況の改善がまず望まれる】(FILE/撮影:坂本卓) |
個人的には、オリンピックの大騒ぎとは距離を置こうとしているのだが、オリンピックそのものが、国際社会の関心を集めることでその国の人権状況を変えることの契機となるなら、べつにあってもかまわないとは思う。だが、中国の人権状況が今回の北京五輪を経てどれほど変るだろうかと考えると、実際には、そうはなっていない現実があることも見ておかなければならない。
五輪の開催地に北京が決まったときには、「チベット人の人権問題」が大きくとりあげられ、開催直前にいたっても、開会式に出席するかしないか態度を明らかにしなかった国がいくつかあった。もし、イスタンブールでオリンピックが開催されることになっていたなら、「クルド人を抑圧するトルコに五輪開催の資格はない」などの抗議行動がどれほどの規模で広がっただろうか。また、日本のメディアはどこまで報じただろうか。
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)







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