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4月、スーダンは暑い。手もとの温度計は50度まである目盛を振り切っていた。あまりの暑さに悪寒すら感じられてくる。
乗っていたバイクも悲鳴をあげ始めた。タイヤが熱を持ち、ゴム糊で修理したパンクの修理跡が次々とはがれて空気が抜けてしまう。ゆっくりと走りながら、ホットパッチのあるパンク修理屋を探した。ちなみにホットパッチとは、ゴムとゴムを熱で圧着させる修理方法。器具が必要となるが、糊よりも遥かに丈夫である。街道沿いの露店が数件立ち並んだ一角に、やっと目当ての店を見つけることができた。
店主は外国語をまったく解さず、私はスーダンの公用語であるアラビア語がまったく話せないが、身振り手振りをするまでもなく依頼事項は伝わったようだった。空気のパンパンに入ったタイヤを見て安心したところで代金を支払おうとすると、店主は両手のひらを私に向けて首を横に振る。手際よく丁寧な仕事っぷりに対してぜひとも代金を支払いたかったのだが、受け取ってもらうことはできなかった。
ちょっと待ってと彼はいったん小屋に戻り、赤ちゃんを抱いた女性とともに出てきた。どうやら彼の奥さんと子供を私に紹介してくれたのだった。そっと渡された赤ん坊を私が抱く様を見て、二人とも満面の笑み。彼は奥さんにポケットからお金を手渡し、すぐ先にある店に目をやる。まもなく店から戻ってきた奥さんの手にはコーラが1本。私のために用意されたコーラ。高価なワインを口にするように、一口ずつゆっくりと、感謝しながら口に含んだ。
その後彼は小屋の中からベッドを引きずり出し、きれいに畳まれた毛布をその上に敷き、ポンとたたいて私に座るよう促した。そして、両手をそろえて頬にあて、ここで眠っていくといいと身振りで伝えてくれる。日が傾きかけてきていたし、そもそも町ではないため宿も無い。一晩、眠らせてもらうことに決めた。
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満身を込めてのホスピタリティだった。そもそも、引きずり出したベッドはひとつしかないもの。生まれたばかりの赤ん坊を抱いた奥さんは、ござを敷いて床に座っている。夕食には露店からフール(豆を炊いたもの)とパンを買ってきてくれたが、それも1人分だけ。夫妻は余りものを口にしていた。せめて食事代くらいは自分で支払いたいと伝えても、彼はまた首を横に振る。夕食後は、水を注いだバケツがひとつ。これで体を拭くようにとの計らいだ。さっぱりした体をぬるい風に晒しながらベッドに腰掛けていると、彼はラジオを持って私の隣に腰を下ろした。チューニングを合わせた局は、BBC。彼は英語がわからない。私を思ってのラジオ、である。私が彼のもてなしを精一杯享受することで、どうか彼も満たされていて欲しいと願いながら、ふたりで星空を見上げ、BBCのニュースを聞いた。
私はこれまで、アフリカの国々で宿に困ったことが無い。宿の無いような場所でも、人が住むところならば、誰かが声をかけてくれた。
ただし、痛いほどのもてなしと向かい合う覚悟が必要である。







【番組案内】2008年11月27日「リムジンガン記者が撮った北朝鮮」報道ステーション