〔日誌〕 柳本通彦の台湾海峡天氣晴朗なれど No68
![]() 【1994年市長選挙で街頭演説する陳水扁/撮影:筆者】 |
「Xデー」 その1
陳水扁前総統はいつ身柄を拘束されるのか…、現在、台湾中がそのXデーを待っているところだ。
はや、もう2年も陳水扁総統とその一家の疑惑騒動が続いているが、ご夫婦も実子もいまだに一度も身柄を拘束されたことがない。ただ出国禁止の対象になっているだけである。
しかし、すでに関係者多数が参考人として呼び出され、うち9人が起訴され、3人が拘置所に入っている。その3人とは、陳水扁の側近中の側近と、妻呉淑珍の学友である。
捜査の範囲は、彼らの友人グループにまで広がっているが、一方で、その包囲網は縮まってきたともいえる。いよいよ捜査は核心に迫りつつある。Xデーは近い。焦点は国費流用の確証がつかめるかどうかである。
こうした切羽詰った時期になって、陳水扁は必死の反攻に打って出ている。地盤の南部で「支援」集会を連日立ち上げ、「準備はできている。逮捕する気なら、俺のところにまっすぐ来い」と豪語し、これは政治弾圧だ、あれは政治資金だ、「自分は馬英九時代*最初の政治犯になるんだ」と開き直る。
例えば…、「小豆島独立!」などと称して高齢者から資金を集めていたペテン師が摘発されたとしよう。ところが逮捕されたペテン師は、これは詐欺ではない。ほんとうに独立するつもりだったんだと居直ったらどうなるか。あるいは、逮捕目前の国家元首が、「これは政治弾圧だ」と民衆をあおり、暴動をもってそれを阻止しようとしているようにも見える。
検察当局としては、慎重のうえにも慎重を期せざるを得ない。何しろ相手は、弁護士であり、前大統領なのである。下手をすると「首都」は大混乱に陥る。
民進党と陳水扁を支えてきた人たちが、どちらかというと、中南部の郷土色の濃い人たちで、決して学歴も所得もそう高いとは言えない人たちであることを思う。
民進党は黙視。陳夫婦は自ら離党はしている。しかし党は正式の処分を下してはいない。そうしたなかで、党内から公然と陳水扁支援を叫ぶ人も出てくる。民進党は、みずからの党首が招いた一大疑獄を前にただ呆然と立ち尽くしているばかりだ。
一方、中国毒ミルク事件は、ネッスル、ロッテなどの多国籍企業を渦に巻き込みながら、野放図に拡大している。
マレーシアから輸入された菓子がおかしいと摘発すると、マレーシア政府からは、原材料はすべて台湾製だと反論がきたりする。そもそもppmの意味がよくわからないマスコミ、正確な検査ができない衛生当局のもとで、業界は大混乱状態である。しかしもともと多彩な化学合成調味料を濫用している外食産業を野放しにして、メラニンだけを目の敵に追い掛け回していることに意味があるのだろうか…
「キリン一番搾り」は、台湾では高級ビールの部類に入る。庶民は日常、台湾ビールで我慢するしかない。
近くのスーパーにキリン一番搾りが超サービス価格で販売されていた。早速ケースで買った。しかし、まずい。明らかに、一番搾りではない。ニセモノでないか、不純物が入っているのではないか…、表示をよく見るとなんと「中国製」だった。みかけはまったく日本のものとかわらない。なんだか、口にできるものが日に日に少なくなっていくのである。(この項続く)
*陳水扁は馬英九を「区長」と呼んでいる。台湾は、台湾政府の公文では、「中華民国台湾地区」と表現される。台湾共和国建国を目指さない馬英九は区長でしかないという意味である。





