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季刊誌 北朝鮮内部からの通信〜リムジンガン 第2号・夏号
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ico_new2.gif北朝鮮―嘱託殺人事件 下[事件・事故] リムジンガン
自分が勝ったことに気をよくしたテソンは考えた。自分の妻が何もチュンシルでなければならない理由はない、テソンと一緒になりたいという女は他にいくらでもいる、と…

ico_new2.gif北朝鮮不動産取引の怪 リムジンガン
〈解説〉住宅闇市場と横行する不正腐敗 2
住宅事情悪化の要因
朝鮮式社会主義制度の下では、国家の所有物である国家住宅の購入や交換を一般住民が行うことはありえない…

ico_new2.gif北朝鮮―嘱託殺人事件 上[事件・事故] リムジンガン
朝鮮で「嘱託殺人」事件が起きた!……と言っても、別に驚くにあたらない。国家権力の不正腐敗により無法地帯化してしまった社会では…

ico_new2.gif北朝鮮不動産取引の怪 リムジンガン
〈解説〉住宅闇市場と横行する不正腐敗 1
朝鮮において、国家による住宅供給制度は、既に一九八〇年代から不正腐敗にまみれながら崩れていったといわれる…

ico_new2.gif市場の民衆たちがもつ「統一」のイメージ [民衆の暮らし]リムジンガン
党と国家の宣伝教化によって形成され、学者や教員、作家、記者らを通して植えつけられた住民たちの統一観は、かつては次のようなものだった…

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イラン〜世界ゴッツの日【大村一朗】

大村一朗のテヘランの風 世界ゴッツの日(08/10/12)


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【ロサンゼルス・タイムズの記者から取材を受けるアフマディネジャード大統領/アーフターブ・ヤズド紙(2008.9.24付)】(撮影:大村一朗)

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イランのアフマディネジャード大統領がニューヨークを訪問した。彼の国連総会出席も、今年で4度目となる。

アフマディネジャード大統領が国連総会で演説をした翌日の朝刊には、演説の内容より、ロサンゼルス・タイムズやCNNを始め、アメリカの各メディアの独占インタビューに笑顔で応じる、楽しげで、余裕たっぷりの大統領の姿が大きく報じられた。

「アメリカ政府は他国の国民と敬意をもって接しなければならない。他国の国民と敬意を伴う公正な関係を持たなければならない。我々もこうした環境において、アメリカと友好関係を持ちたいと思っている」 

2005年のイラン大統領選挙で、唯一、アメリカとの関係改善を公約に掲げなかったアフマディネジャードも、任期が残すところ8ヶ月を切った今、ソフトなイメージを打ち出すことで、次期選挙に備えたいのかもしれない。
経済政策に対する国民の失望が広がる中、アメリカとの関係改善は、現政権への大きな期待と評価にもつながるだろう。

アフマディネジャード大統領が国連総会で演説を行なった3日後の9月26日、イランでは「世界ゴッツ(神聖)の日」のデモ行進が行なわれた。

イラン・イスラム革命の創始者ホメイニー師が、毎年ラマザーン月最後の金曜日を「世界ゴッツの日」とし、この日にパレスチナを支援するデモ行進を行なうことを世界のイスラム教徒に呼びかけたのが始まりだ。

この日、イラン全土で数百万人がデモ行進に参加し、テヘランでも主要な通りを埋め尽くした群集が、「アメリカに死を!」、「イスラエルに死を!」のシュプレヒコールとともに、挙を空に突き上げていた。

その日、私は職場へ向かうタクシーの中、若い運転手にゴッツの日のデモ行進について聞いてみた。しかし、帰ってきた答えは、「何の役にも立ちゃしないよ」とそっけないものだった。

確かに、所詮は官製デモであり、「パレスチナ支持」、「反米」、「反イスラエル」という国是を内外にアピールするためのイベントに過ぎない。政府が、各政府機関や国営企業、学校、そして体制支持母体に動員を呼びかけ、デモ参加者らは職場や学校から大型バスを連ねてやってくるのだ。

もちろん、パレスチナの現状に心を痛め、自分からこのデモ行進に参加する市民も決して少なくない。それに、この大々的なデモの様子が伝われば、それだけでもパレスチナの人々を勇気付けることには繋がらないだろうか。そう問うと、タクシーの運転手は言った。

「イランにはね、『モスクに明かりを灯す前に、自分の家に明かりを灯せ』という諺があるんだ。パレスチナを支援するのは立派なことさ。でもその前に政府はやることがあるだろ。日本は自国の発展を犠牲にしてまで、他の国を援助しているかい?」

イラン政府はパレスチナのハマス、およびレバノンのヒズボラを支援している。物質的な支援ではなく、精神的な支援であるとイラン政府は表明しているが、実際には国庫から莫大な金額がこの二つの組織に投入されていることも、アフマディネジャード政権になってからその額が更に増えたことも、国民の間では自明のこととされている。そして、経済の遅れと激しいインフレの中、こうした支援を疑問に思う風潮が激しくなっている。

とはいえ、ハマスとヒズボラへの支援は、イスラエルを包囲し、イランへの攻撃を阻止する意味で、イランの国益に適っているものでもある。私がそう指摘すると、運転手は首を横に振った。

「いいかい、俺たちの本当の敵はイスラエルじゃない。アラブだ。イラン・イラク戦争のときは、やつらはみんなイラク側についた。俺はイスラエルには何の敵意も感じないよ」

折りしも、わずか5日前、イランではイラン・イラク戦争開戦記念日を迎え、今週は開戦記念週間として、連日、当時を振り返る特別番組がテレビで放映されている。それらは、愛国心と殉教の精神を呼び起こすのがねらいだが、そうした番組から、パレスチナもひっくるめてアラブへの憎悪を掻き立ててしまう人も多いようである。

この日の夜、再び乗った別のタクシーでも、私は運転手に今日のデモ行進のことを訊ねた。するとその運転手は、いいかい、イランにはこういう諺があるんだ、と言って、こう続けた。

「モスクに明かりを灯す前に……」

それ知ってますよ、と私が言うと、彼は随分驚いていたが、同じ諺を二度も聞かされた私の方が驚きだった。国民の不満を言い表す、有名な諺なのかもしれない。

私は、その年配の運転手に、アフマディネジャード大統領のニューヨーク訪問について訊いた。イランとアメリカが関係改善を果たすことなどありうるのだろうかと。そもそも、圧制者への抵抗こそがイスラム革命の理念だ。パレスチナを抑圧するイスラエル、そしてそのイスラエルを支援するアメリカと対峙してこその、ゴッツの日ではないのか。

「国交回復?あるかもね。イランは昔から、アメリカがイラン敵視政策をやめ、アメリカでの凍結資産をイランに返却すれば、国交を回復してもいいと昔から言ってるんだ」

国交が回復されたら、ゴッツの日の抗議デモでは、「アメリカに死を」だけが叫ばれなくなるのだろうか。

「あれは、国民が勝手に言ってることにして、やらせとけばいいんだよ。でも実際、国交回復はそう簡単にはいかないよ。アメリカはイランに、条件としてハマスとヒズボラへの支援停止を要求してくるだろうからね」

アメリカの方が、国交回復の条件は、ずっと国是に忠実なようである。もっともハマスとヒズボラへの支援停止は、イランにとって半武装解除を意味し、とうてい受け入れられるものではない。

いずれにせよ、30年間の断絶状態が終わりを告げるためには、両国が信頼関係を築く上で、何かきっかけになるような出来事が必要だろう。少なくとも、相手に条件を提示しているような段階では、互いが切に国交回復を願っている状態ではないということだけは確かである。

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