女性大臣がCDOを殴る(2009/11/10)【小倉清子】

  
 

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女性大臣がCDOを殴る(2009/11/10)

今日の夕方のトップニュースは、「カリマ・ベガムがCDOを殴った」というものだった。ベガムは昨年の制憲議会選挙で、パルサ郡の選挙区から立候補して当選したマデシ・ジャナアディカール・フォーラムの女性議員である。

ムスリム女性として初めて選挙に当選している。もっとも、制憲議会の前までは政治のことはほとんど知らず、女性でムスリムという2つの被抑圧者層に属するところに目がつけられて、立候補者名簿に名前が載せられたものだ。

ベガムは先の内閣拡大のときに、農業協同組合省の国務大臣に任命された。私も1度だけ彼女に取材をしたことがあるのだが、口の悪さに少々辟易したことを覚えている。

ベガムは今日、パルサのCDO(郡行政長官)が要求したような車を貸さなかったと言って、数十人のサポーターを連れて、CDO事務所に押し入り、彼女自身がCDOを殴ったそうである。ベガムはこのCDOが前々からマデシ議員を見下すような態度をとっていた事が気に入らず、今日、ついに手が出るまでに至ったと殴った理由を説明している。

彼女の言い分が真実であるならば、つまり、バフンの男性であるCDOが本当にベガムをムスリムの女性だから見下していたのであれば、喝采をしたいところであるが、テレビのニュースで様子を見ると、やはり品位に欠ける行為としか言いようがない。

ニューデリーに“参詣”していた統一共産党のカナル党首は今日、ようやくインドのマンモハン・シン首相と会見することができた。

カナル党首はインド政府の招待で行っていたにもかかわらず、シン首相はなかなか会見の時間をくれなかったようで、カナルは昨日の帰国予定を明日に延ばして会見にこぎつけた。一足先に帰国したフォーラムのウペンドラ・ヤダヴ党首は、インド側は現政府を維持する方針であると話している。

「インドが作った政府なのだから、インド側が維持したいと思うのは当たり前」とヤダヴは話している。これはつまり、マオイスト側が大幅譲歩をしないかぎり、現在の政治問題は解決しないということである。

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国連事務総長の発言(2009/11/08)

今日は朝から、チベット仏教ゲルク派の僧院であるコパン・ゴンパに行ってきた。コパン・ゴンパは昨年訪れたときには、土曜日だけ一般公開していたが、何ヶ月か前から土曜日も一般人は入れなくなってしまった。

今日は、たまたま友人に誘っていただいて、ゴンパの関係者が率いたグループに混じって行ったのだが、幸運なことに、25年間瞑想をしたあとに亡くなった有名な僧の生まれ変わりである7歳のテンジン・フンチョク・リンポチェに会うことができた。何とも、可愛らしい僧だった。

久しぶりに、僧院でとても良いエネルギーをいただいてきたあとに、政治のことを書くのはどうも気が進まないのだが、国連安保理におけるバン・キームン国連事務総長の発言が物議をかもし出している。

ネパールにおける和平プロセスが遅々として進まないことを懸念して、政党は「合意に基づく国民政府を作るべき」と事務総長が発言したところ、与党、とくにネパール会議派のリーダーのなかから、この発言が「ネパールに対する政治干渉である」と言う声が上がっている。

「国連はマオイストの影響を受けている」(ラム・チャンドラ・パウデル)と行った発言が出ており、UNMINの役割に対するこれまでの批判をさらに後押しする形となっている。

一方、マオイスト側は「事務総長は正しいことを言った」(プラチャンダ)と表明しているばかりでなく、「政治干渉をしているのはインド。インドはネパールにおける国連の存在がずっと気に入らなかった。今回の国連事務総長に対する批判をするのは、インドの立場を支持する人たちだ」(リラマニ・ポカレル)というコメントまででている。

確かに、今回の事務総長発言に関して「政治干渉である」と批判する人たちは「インドからの政治干渉」については沈黙を保っている人が多い。

UNMINは、ネパールにおける政党の対立が和平プロセスに危機をもたらすことを懸念すると報告しているが、皮肉なことに、この報告がマオイストと反マオイスト政党の対立を深める結果となったわけだ。

久しぶりに写真を掲載した。上はコパン・ゴンパ。下は自宅から見えた、夕日に映えるガネシャ・ヒマール。

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政治家のデリー参詣(2009/11/05)

マオイストによる抗議運動は今のところ、“平和的”に進んでいる。一昨日は、統一共産党の党首ジャラナス・カナルがジャナアディカール・フォーラムのウペンドラ・ヤダヴ党首とともにニューデリーに発ったあと、K.P.オリの自宅にプラチャンダとバブラム・バッタライ、NCのデウバ元首相、ラム・チャンドラ・パウデルが集まって夕食会が開かれた。

「反マオイスト派」の筆頭として知られるオリのイニシアチブでの夕食会である。何も結論はでなかったが、プラチャンダらは「最大限柔軟になる」と示唆したと伝えられている。

さて、UMLのカナル党首はニューデリーで、インドの政治家や官僚との会見に忙しいそうである。カナル党首とともに急遽、デリーに発ったフォーラムのヤダヴ党首は、ネパール首相との極秘会見のとき、現政権への入閣の条件として、「ガッチェダール副首相よりも上位の副首相」の席を要求してきたそうである。

ガッチェダール副首相がこれを受け入れるわけもなく、ネパール首相はこの要求を受け入れられないむねを伝えたようだが、ヤダヴが急にニューデリーに行くことになった理由が、入閣のための説得にあることは明らかだ。

マオイストは現在進行中の街頭運動に対して、政府と外交サークルから強い圧力がかかっている。初日のダンクタの出来事を除けば、今のところ、平和的に進んでいるが、ちょっとでもマオイストが暴力的な行動を起こせば、政府は軍を発動させることをすでに示唆している。妥協せざるをえない状況ができつつある。

  
    
小倉 清子
関連書籍
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ネパール王制解体
- 国王と民衆の確執が生んだマオイスト


 著者:小倉清子 
 出版:日本放送出版協会 
 定価:1218円(税込)
 <2007年1月刊>

 13年にわたる現地取材により明かされるマオイストの真実の姿。政府軍の空爆下、マオイストの拠点であるタバン村に赴くなど、命がけの取材を敢行し、党首プラチャンダはじめ、幹部、コマンダーへの徹底した聞き取りを実行。
 また90年代の民主化運動から継続的にネパールを見続けてきた経験をもとに、王政崩壊の新局面を迎え、激動するネパールの現在を鮮烈に描く。

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