ネパール 今日、再投票だが・・・ 【小倉清子】

今日、2度目の首相選挙がある。しかし、一昨日、ぎりぎりで立候補を取り消した統一共産党が今日の投票も棄権することを明らかにしているため、今日、首相が決まる可能性はあまりない。

マオイストのプラチャンダとネパール会議派のラム・チャンドラ・パウデルの2人の決戦投票となったが、237議席をもつマオイストは64議席を獲得できれば当選となる。4政党からなる統一民主マデシ戦線は、同じ候補者に投票をすることにしているために、マオイストが当選するにはマデシ戦線の支持が不可欠となる。

一方、ネパール会議派は113議席しかもたないために、過半数(301議席)をとるにはマデシ政党の支持だけでは足らず、統一共産党の支持が必要となる。したがって、マデシ政党が今日マオイスト支持を決めれば、今日にも新首相が選出される可能性があるが、マデシ政党がネパール会議派支持にまわった場合、統一共産党が棄権しつづけるかぎり、新首相は決まらないことになる。

一昨日の投票では、統一共産党のカナル議長はマオイストを含めた391議席の支持をえることが確定していた。同党が目標としていた3分の2以上の議席まで10議席が足りなかったことになる。しかし、最後にマデシ政党が棄権を決めたために、3分の2に及ばず、最終的に立候補を取り下げることになった。何ともばかばかしい行動である。

過半数を90議席超える支持が確実になっていながら、立候補できなかったカナル議長は、「すべて、ネパール首相とKPオリのせいである」と苦い思いをしているようだ。カナルはネパール首相率いる政権打倒に大きな役割を果たした。つまり、これは、ネパール首相の"復讐"であるといっていい。この出来事からも、統一共産党のリーダーがいかに腐っているか明らかである。

プラチャンダも、今回の首相選挙では「自分以外のだれも立候補させない」というエゴをむき出しにした。マデシ政党はバブラム・バッタライであれば支持をするという非公式な見解を明らかにしており、バッタライが立候補した場合、異なる展開になった可能性もある。

今回プラチャンダが見せた、実にあからさまで醜い態度により、彼の政治家としての評価はかなり下がった。インド政府はプラチャンダとカナル議長を嫌っており、二人が首相になることは何としても阻止を試みるだろう。

    
小倉 清子
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ネパール王制解体
- 国王と民衆の確執が生んだマオイスト


 著者:小倉清子 
 出版:日本放送出版協会 
 定価:1218円(税込)
 <2007年1月刊>

 13年にわたる現地取材により明かされるマオイストの真実の姿。政府軍の空爆下、マオイストの拠点であるタバン村に赴くなど、命がけの取材を敢行し、党首プラチャンダはじめ、幹部、コマンダーへの徹底した聞き取りを実行。
 また90年代の民主化運動から継続的にネパールを見続けてきた経験をもとに、王政崩壊の新局面を迎え、激動するネパールの現在を鮮烈に描く。

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