アジアプレス・ネットワーク

核心の現場から伝える 報道ウェブジャーナル

アジアプレス設立30年記念イベント

<北朝鮮>平壌に行って見えること見えないこと 主観的印象論を排すために(1) 石丸次郎

平壌中心部の牡丹江区域のアパート街は座り込んで商売をする人たちで賑わう。このような庶民の姿を外国人は目にできない「カラクリ」がある。写真はジャガイモを売る若い女性。2011年7月撮影ク・グァンホ(アジアプレス)

 

「百聞は一見にしかず」が当てはまらない、何度訪れてもその実態がほとんどわからない国が北朝鮮である。当局が、外国人訪問者の行動を徹底して規制し、自国民との接触を妨げるからだ。「訪朝者たちに見えるのは虚構だけだ」と言うつもりはない。しかし、訪れることができるのは、外国人のために準備されたわずかなエリアであり、目撃できるもののほとんどはカラクリ仕掛けを施された舞台上の風景だけ。そのことを知らずに、一見したことだけで「北朝鮮の実態」を語るのは、無邪気な主観的印象論に過ぎない。金正恩体制になってから発表された訪朝記のいくつかを紹介しながら、「平壌のカラクリ」について考えてみたい。

◆無邪気な訪朝記
まず、少し時間が過ぎたいくつかの訪朝記について言及したい。
金正日氏が死去した翌年の2012年4月15日の太陽節(金日成の生誕記念日)以降、海外、日本から数多くの学者やジャーナリスト、友好人士、観光客が北朝鮮を訪れ、その訪朝記がウェブや新聞、雑誌にいくつも発表された。

日本の著名人としては、一水会顧問の鈴木邦男氏、浅野健一同志社大学教授(当時)、国際情勢アナリストの田中宇氏、小倉紀蔵京都大学教授によるものが目に留まった。在日朝鮮青年商工会員など総連関係者による訪朝記もウェブ上で数多く見かけた。また訪朝報告会も各地で度々開かれそれが記事になっている。この年8月には「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」(角川書店)という本も出版された。
関連写真:外国人が絶対に見られない平壌の裏通り 身なり悪い人は地下鉄に乗せないカラクリ撮った

2012年は、実質的に金正恩体制が発足してから間もない外国訪問団受け入れであり、訪朝が15回目だという「ベテラン」や朝鮮語を解する研究者が書いたものもあったので、私は興味津々でそれらの訪朝記に目を通したのだが、率直な読後感はといえば、「なんとも無邪気」というものであった。

その内容はと言うと、平壌のイタリア食堂はおいしかった、生ビールはいける、六本木ヒルズのような高層マンション群に驚いた、太陽節を祝う大花火大会の豪華さ、深夜まで営業している遊園地のイタリア製絶叫マシーンやローラースケートで遊ぶ子供たちの姿に感心し、「平壌の発展ぶり」や「北朝鮮は変わりつつある」との認識を綴ったものがとほとんどであった。

この記事は会員記事です。 すべての写真、記事、動画をご覧になるには、有料会員登録が必要です。 以下の、新規会員登録リンクより、新規会員登録ができます。 会員の方は、ログインしてください。

既存ユーザのログイン
   
金正恩時代の中学校教科書資料集 DVD
Return Top