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復刻連載「北のサラムたち1」第20回 40年目のSOS 在日帰国者一家の物語(4) 「ゲンチャン」という侮蔑語

中国吉林省延吉市のアパートに隠れ住んでいた頃の李昌成さん一家。左上は長女のスギョン、右は二女のスミ。北朝鮮を脱出して1年が経ち、体力はすっかり回復していた。1999年8月中国延辺にて撮影石丸次郎

 

帰国者に対する新たな差別

1959年から1984年までの25年間に北朝鮮に帰国した、合わせて9万3000人余りの在日朝鮮人たちは、新たな家庭を作って子どもをもうけ、北朝鮮で代を継いで暮らしていくことになる。

李昌成さん、姜英子さん夫婦もそうだが、北朝鮮での帰国者の結婚は「95%以上が帰国者同士」(英子さん)なのだという。当時の北朝鮮より格段に生活水準が高く、資本主義の国・日本の生活習慣に馴染んだ帰国者にとって、北朝鮮で生まれ育った人とは、いくら同じ民族とはいっても、共に家庭を築くには埋めがたい距離があったのだろう。また、言葉の問題があったことも想像に難くない。

「現地の人と帰国者はぜんぜん合わない」とは、脱北した帰国者が口を揃えて言う言葉だ。だが、北朝鮮で生まれ、日本を知らない帰国者2世も、やはり多くの場合帰国者2世同士で結婚するのだという。

「私も2人の娘を北朝鮮で嫁にやるとしたら、絶対に『ゲンチャン』にはやりません。たとえお金がない家でも帰国者の家に嫁がせたでしょう。習慣が違うし、『ゲンチャン』たちは信用できないから」
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英子さんはきっぱりとこう言う。彼女が使った「ゲンチャン」とは、帰国者たちが北朝鮮現地住民たちを揶揄して呼ぶ隠語である。

「他にも『(ウオンジュミン)』『ゲンゴロー』『アパッチ』などと言います」(昌成さん)。
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