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リムジンガン1号~7号

復刻連載「北のサラムたち1」第26回 40年目のSOS 在日帰国者一家の物語(10) モスクワで李一家を待つ

ほぼ2年間潜伏していた延吉を離れるためにバスに乗る姜英子さん。2000年10月支援者撮影。

2000年10月モスクワ
「待ち合わせは10月×日、モスクワの国際列車到着駅のホームに迎えにきてください。私たちは今から家を出ます。無事にロシアで会えるよう、幸運を祈ってくださいね――」

陸路ロシアに脱出する覚悟を決めた李昌成さんが、中国から日本にかけてきた最後の電話だった。中国発のシベリア国際鉄道の終着地・モスクワで落ち合う段取りが、これで最終的に決まった。

無事にロシアに出られるのか100パーセントの保証があるわけでもないのに、昌成さんの声は少し弾んで聞こえた。密出国に消極的だった昌成さんも、びくびくし通しだった2年間の隠遁生活とも、これでおさらばだと、延吉出発に気持ちを新たにしたのだろうか?

ところが、残念なことに潜伏生活に終止符を打つ段になって家族は3人になってしまっていた。ちょうど金大中(キムデジュン)―金正日会談が電撃的に開催された六月中旬、長女のスギョンが外出中に中国公安に逮捕され、北朝鮮に送還されてしまったのだ。

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