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リムジンガン1号~7号

<パレスチナ現地報告>電力危機にあえぐガザ住民(3)~廃業の瀬戸際で 土井敏邦

冷凍魚と精肉を売る店舗。停電で溶けた冷凍魚を見せるアウニ・アブエルクテ店主(2017年7月、ガザ市で撮影 土井敏邦)

イスラエルによる送電カットによって、1日2~4時間しか電気の使えないガザ地区。真夏の酷暑の中、人々が扇風機すら使えない過酷な毎日を強いられているだけでなく、電気を基盤とする様々な産業、家業が深刻な状況に陥っている。ガザの街角からリポートする。(ジャーナリスト・土井敏邦)

ガザ地区中部のハンユニス市のアイスクリーム工場は創業から40年、ガザ地区、ヨルダン川西岸で最初のアイスクリーム工場である。かつては全製品の70%を西岸に出荷していたが、封鎖でガザから製品を輸送できなくなり、その主要な市場を失い利益が激減した。

この工場はもう10年近く前から電力不足に悩んできたが、深刻な状況になったのは3ヵ月前からだ。とりわけ6月から状況はいっそう悪化した。1日に2~4時間しか電気がなく、そのために販売できる量はかつての5%ほどでしかない。

「電気は私たちの仕事の基盤です」と言うのは、この工場の幹部ナセル・マクドゥマ(60)だ。「まず製品を生産し、それを冷凍庫の中で保存するのに電気が不可欠です。そして商店に販売するとき、その商店は保存する冷蔵庫がないと、すぐにアイスクリームは溶けてしまう。だから発電機などで電気を維持できないと店に買ってもらえないのです。それらの理由で販売量はかつての5%ほどでしかありません」

工場内のいくつかの製造ラインは止まったままで、冷凍庫も一部は倉庫として使う他ない。 以前は200人いた従業員は、電力危機のために稼働できる製造ラインが限られるため、今は30人ほどに減少した。電力悪化はさらに失業者を生み出している。
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