■イラク越境 PKKゲリラ拠点への空爆はあるか?(2)
![]() 【トルコ・イラク国境付近で活動するPKKゲリラ部隊 2006年】 |
イラク・クルドの両派がPKK対策に本腰を入れないのには大きな理由がある。それは、トルコがキルクーク帰属問題に介入することを阻止したいからだ。2003年7月には、クルド地域に潜入していたトルコ軍特殊部隊兵士11人が、米軍によって逮捕される事件が起きた。
クルド勢力のキルクーク掌握妨害の工作に関与していたとして、クルド自治政府が働きかけたものとされている。クルド自治政府高官は、トルコ政府がいまもキルクークでトルコマンらを通じた非合法活動を支援していると発言している。
トルコ政府は、クルドがイラク最大規模のキルクーク油田を手にして、国際的な発言力を高めることを警戒する。また、トルコ国内には、「オスマン帝国以来、キルクークはトルコのもの」と主張する勢力さえいる。
クルド敵視のトルコをけん制するには、イラク政府やクルド自治政府側にとってやっかいもののPKKも、有効なカードとなりえる。敵と味方、それは、いつ入れ替わるかわからない。駆け引きを利用しようとするもの、翻弄されるもの、分断クルドの姿が垣間見えるようでもある。
PKKのゲリラ兵力は約6000人。トルコ国内だけでなく、ヨーロッパの移民クルド人にはPKK支持が多い。前面衝突となれば、トルコだけでなくヨーロッパのクルド人も黙ってはいないことをトルコ政府も知っている。
5月には駐トルコ米大使が「イラク政府とPKK問題について具体的な協議に入った」と述べているが、トルコがイラクとの緊張を高めないよう、なだめるのが目的のように思える。
トルコはこれまで迫撃弾や大砲などでPKK展開地域に頻繁に越境攻撃を加えている。だが、トルコ軍機がイラクに越境して限定空爆したり、歩兵や戦車を投入した軍事攻撃はそれなりの決断と影響を伴う。
いまのところ、各方面からの話を総合すると、限定空爆はあっても、それ以上は、まずないようだ。一方、PKKに譲歩を迫るような措置を、現在、イラク政府が準備しているのは確実なようだ。近々、なんらかの変化がおきるかもしれない。
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)




