![]() 【イラク軍が武装勢力から押収した大量のカラシニコフ銃を撮影する。日本の暴力団抗争はピストルを数発撃って逃げる程度で「仁義なき戦い」。イラクでの地獄の抗争はいったいどう表現すればよいのか…】 |
「山口組と国粋会の抗争激化」と報じられた。
「ヤクザの抗争っていうのは、直接殺しあいしちゃダメなんだ。事務所や窓ガラスに2、3発撃ち込んでくるのが、ある意味、暗黙のルール」という話を、以前、突破者の宮崎学氏からきいたことがある。「組事務所」のシャッターや窓を狙って数発撃ち込んで逃げる。宗派抗争を繰りひろげるいまのイラクに比べて、なんと「カワイイ」ことか。
ヤクザの抗争は義侠心というよりも、抗争をすることでどれだけの利益を得られるか、で計算される。懲役に行けば、弁護費用や家族の補償だけでも数千万にのぼるといわれる。殲滅戦を本当に考えるなら、相手の組事務所への爆破攻撃、家族拉致、食事に毒を盛るとかいくらでも方法はありそうなものだ。
実際には、自分の組に2人の死人がでれば、相手にもそれに見合う犠牲をだしたあたりで「手打ち」となる。今回の抗争も、ダメージのバランスがとれたところで、それに見合ったカネが動くか、誰かがなんらかの責任(ケジメ)をとって、終結となるだろう。
イラクはシーア派とスンニ派の宗派抗争で「内戦状態」とも表現されている。シーア派が支配する内務省管轄下の警察は、スンニ派地区で無法行為を繰り返し、スンニ派地区からは、シーア派地区に向けて迫撃弾が無差別に撃ち込まれてきた。
そして、いま、イラクはだれがだれを狙っているのか、だれのために殺しあいをしているのかさえわからなくなった。車に仕掛けた爆弾が爆発するのは、宗派混住地区の商店の前。自爆戦士が「聖戦」のために自爆するのは、子どもの乗った乗合バスの中だ。
こんな状況から、いったいだれが、なんの利益を得ているのか。
![]() 【イラクでは珍しくもなくなった自動車爆弾。犠牲のほとんどが市民だ】 |
普通のイラク人のほとんどが、他宗派、他宗教を根絶したり、追い出そうなどとは思っていない。
「アメリカが悪い」という主張にかわり、シリアやイランを非難する意見が増えている。「シリアがスンニ派、イランがシーア派を煽ってイラクを混乱させている。アメリカがイラクで泥沼にはまりこんでいるあいだは、シリアやイランを攻撃できないからだ」
いつ自爆に巻き込まれまれたり、拉致されるかわからない日々。市民はこの底無しの暴力で、どうしていいかわからないでいる。
2年前、バグダッドの女子大生が言った言葉がいまも心に残る。
「いまのイラクは無茶苦茶。フセイン政権が悪い。アメリカも悪い。周辺の国も悪い。そしてイラク人も悪い」
いまのイラクは、抗争する各派が「手打ち」すらできなくなってしまった。
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)





