アフガン韓国人人質事件〜人質一部解放
タリバンが人質の一部を解放した。「韓国軍撤退と宣教活動中止」が解放の条件となったといわれる。もともと年内に予定されていた韓国軍撤退を、わざわざ「合意した解放条件」としてメディアが報じた。韓国には身代金を支払ったことには表沙汰にはしたくないことであり、タリバン側にとっても拉致はカネのためではなく、「大義」のためだったとし印象づけたい思惑があったのだろう。
ひとり10万ドル(約1150万円) の身代金がタリバン側に支払われるといわれる。19人分なので単純計算でも総額2億円を超える。「税金を使うな」という韓国国民の反発があったこともあり、支払うのは韓国政府ではなく教会ということになっている。
今回、韓国はサウジアラビアに仲介を依頼したとされる。これで韓国はサウジに大きな「借り」ができるのは間違いない。韓国メディアは、後手にまわることが多かった政府の対応への批判よりも、交渉で合意にいたったことを評価する報道のほうが多い。
だが、これで問題が解決したわけではない。結局、なぜアフガンでタリバンが復活しつつあり、そこに外国人義勇兵が加わり、自爆攻撃という戦術がとられるようになり、人質事件がおきることになったのか。イラク化する戦術の背景にはなにがあるのか。アフガニスタンで人びとがどういう問題にいま直面しているのかが、解決されなければ、事件が繰り返されるだけだろう。力づくでタリバンを封じ込めても、今後はアフガニスタンだけでなく、別の国で人質事件が起きる可能性もある。
たとえば、インドネシア駐在の韓国企業社員が武装組織の人質となり、「韓国軍はイラクから撤退せよ」と「要求の関連づけ」が連鎖することもありえる。そして、これは、日本企業も日本人も、いつでも、どこでも標的となる、ということも意味している。
テロを軍事的に封じ込めれば勝利できるのか。警備を強化し企業オフィスを要塞化して事件は防げるのか。カネを払えば問題の根源は除去できるのか。「テロへの屈服か、戦いか」と問題を単純化するのではなく、別の視点をもって、「テロとはなにか」「なぜ起きるのか」をあらためて問い直すべき機会ではないか。韓国人は解放されることになったが、別の場所で拉致されたドイツ人人質1人はまだ解放されてはいない。
4月にアル・ジャジーラのイラク支局に行った際、アハメッド・ザウィーティ支局長が言った言葉を思い出す。
「大きな事件ほど次々と最新情報を伝える必要がある。しかし事件のあとにはその背景をきちんと見つめ直す報道も大切だ」。
==================================================
(リニューアルにともない一部記事がリンクできなくなっています。記事を整理して過去にさかのぼりながらアップ作業をすすめています)
【「Yahoo!動画」でイラク軍従軍リポート配信中】
「Yahoo!動画 アジアプレス・ビデオジャーナリスト報告」
イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)




