爆音のない静かな空を!
〜厚木基地周辺住民、半世紀の訴え〜 第14回 【吉田敏浩】
![]() 【市街地上空を低く飛んで厚木基地に着陸しようとする米軍FA-18戦闘攻撃機】 |
いま、騒音被害と事故の危険性に満ちた厚木基地の艦載機部隊を、山口県岩国市にある米海兵隊航空基地に移駐させる計画がある。それは2005年10月30日に出た、日米両政府の在日米軍再編「中間報告」で明らかにされた。
「仮に岩国に移駐しても、艦載機が厚木基地に飛来しないという保証はありません。房総半島沖や相模湾沖や群馬県の訓練空域で今後も訓練するなら、燃料給油やパイロットの休憩のために厚木を中継地としたり、機体の整備などにも来るでしょう。キャンプ座間に米陸軍第1軍団司令部を改編した統合作戦司令部が移駐すれば、厚木を使う輸送機やヘリコプターも増えます。横須賀への原子力空母配備もあります。米軍再編で在日米軍基地は強化されるのです。だから、騒音がなくなる保証もありません」
そう語るのは、厚木爆同の元委員長の真屋求〔まやもとむ〕(81歳)である。彼はさらに次の点を強調した。
「移駐は爆音と墜落の危険のたらい回しで、岩国市民の多くも反対しています。米軍は自分の国で訓練をすべきなんです。それと、やはり日本から米軍基地を無くさないかぎり、根本的な問題は解決しません」
こうした真屋の懸念を裏付けるように、防衛庁(現防衛省)防衛政策課は筆者の取材に対して、「一般論として、所属基地に近い空域だけで訓練するわけではなく、厚木への艦載機飛来の可能性もないとは言えない。部隊の運用は米軍がどう考えるかで決まる」と答えた。
厚木基地の米軍艦載機はいまも厚木・岩国間を往復しながら、中国山地や四国山地などで低空飛行訓練をしている。仮に岩国に移駐しても、その出発地が逆になるだけで、訓練飛行は続くだろう。
低空飛行訓練は、低空でレーダーの探知を避け、奇襲攻撃するためにおこなう。投下こそしないが模擬爆弾を積み、ダムや発電所などを標的に見立て、山間を縫うように飛ぶ。厚木、岩国、三沢、嘉手納の各基地所属の米軍機が、北海道から沖縄まで8つのルートを設定して飛行している。
< ![]() 【2機編隊で訓練飛行をする米軍FA-18戦闘攻撃機】 |
ところが日本政府は、「基地間の移動や実弾射撃等を伴わない通常の飛行訓練は、地位協定上も、(提供)施設・区域の上空や訓練空域に限定されない」という解釈で、米軍の行為を黙認している。これでは日本上空のどこでも米軍は好き勝手に訓練できることになってしまう。
しかも、日本の航空法の最低高度規制(離着陸時を除き150メートル以上、人口密集地では300メートル以上)を、米軍は日米地位協定に伴う特例法で免れている。そのため、米軍機は自衛隊機や民間機ではあり得ない低空で危険な飛行もする。
1987年8月に奈良県十津川村で林業用ワイヤを切断、94年10月には高知県の早明浦ダムに墜落、99年1月に岩手県釜石市の山中で墜落、同年同月に高知沖に墜落など事故も起きている。住民に死傷者は出ていないが、一歩間違えば惨事につながっていた。
つづく 〜(文中敬称略)





