第9回 自由にものが言える世の中でなければならない

ビラを配っただけでなぜ逮捕されるのか
この国では、政府の方針に異論を唱える反対意見をあからさまに抑えつけようとする動きが目立っている。
2月27日、「立川自衛隊監視テント村」という市民運動グループの男性2人と女性1人が、警視庁公安第2課と立川警察署の刑事に住居侵入容疑で逮捕された。

3人が1月17日に東京都立川市の防衛庁官舎で、自衛隊イラク派兵反対のビラを配ったことに対して、住居侵入容疑がかけられたのである。
しかし、「自衛官・ご家族の皆さんへ 自衛隊のイラク派兵反対! いっしょに考え、反対の声をあげよう!」というこのビラを、自衛官と防衛庁職員とその家族らが住む集合住宅の各室玄関ドアの新聞受け(ポスト)に入れただけで、どうして逮捕されなければならないのだろうか。

3人は起訴され、5月11日に保釈されるまで、理不尽にも75日間という異例の長期勾留をされて厳しい取り調べを受けた。
防衛庁官舎には、「関係者以外の立入り、ビラ貼り・配り等」を禁止する表示板が掲げられてはいるが、普段からピザ屋のチラシなど各種宣伝ビラや市会議員の議会報告などが配られている。だが、これらのビラ類を配った人が逮捕されたこともない。まして、全国どこでも、集合住宅でも一戸建てでも様々なビラ類をポストに配ること(ポスティング)はごく当たり前におこなわれている。

明らかにこれは、自衛隊のイラク派兵を批判するビラの内容を狙い撃ちして、刑法第130条の住居侵入罪を恣意的に拡大適用した言論弾圧、表現の自由への抑圧である。昨年来、広範な市民の参加が見られるイラク反戦運動の声を封じようとする見せしめ効果を狙ったものだ。

東京地裁八王子支部における6月3日の第2回公判で、検察側証人の陸上自衛隊事務官(官舎の居住者)は、「警察の方から被害届けを出すように言われ、警察が作った被害届けの文章にサインした」ことを証言した。

この事実からも、公安警察が主導して計画的におこなった逮捕だったことがわかる。警察と自衛隊上層部の間に連携があったこともうかがえる。
被告とされた3人は多くの市民運動グループや労働組合などの支援を受けながら、「ビラ配布は憲法に保障された表現の自由に基づく正当な行為であり、無罪だ」と法廷で主張し、裁判闘争をおこなっている。
詳しいことは、「世界」7月号(岩波書店)に「自由にものも言えない社会へ?」という記事を発表しているので参照されたい。
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