◆平壌市民が語るカラクリ

取材チームの一員に平壌市郊外に住むク・グァンホさん(仮名)がいる。彼は「美しい平壌」のカラクリについて次のように語った。

「外 国人が訪れる行事があるときは、人から借りてでもきれいな服を着て外出しなければなりません。服装がみすぼらしかったり、大荷物のある人は街を歩いている と隔離されるんです。平壌のアパート街は、普段はごった返すほど露店が広がっていますが、行事の時はずっと役人が立って商売は一切禁止です。」

金 正恩政権になって、平壌中心部には高層アパートや、イルカショー施設などの娯楽施設、ショッピングセンターなどが集中的に作られた。突貫工事に大量動員さ れたのは、主に地方の軍人や青年たちだ。外国人が動けるのは、基本的にそんな整備された区域内だけである。市中心から少し離れると、庶民が暮らす平屋の住 宅街が広がっていると、クさんは言う。

「美しき平壌」を作り演出するためには、膨大なお金と人が投入されているはずだ。最近、北朝鮮の知人たちから聞こえてくるのは、「平壌だけをきれいにして地方の民衆は切り捨てられている」という不満の声だ。電気も水道もほとんどストップ状態になった地域も多いという。

身なりがみすぼらしいという理由で老人が地下鉄駅に入るのを阻む地下鉄運営管理局所属の兵士。

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