イランの断食明けの軽食アーシュ・レシテ。ハーブと豆、麺を煮込み、揚げた玉葱や、キャシクと呼ばれる酸味のある乳製品をかけて食べる(撮影:筆者)


◆断食月3日目

断食月ラマザーンが始まって3日が過ぎた。この3日間は、空腹と喉の渇きよりも、睡魔とのたたかいになった。出社は昼なので、断食開始前の午前4時に朝食を食べてから5時間は眠ることが出来るのだが、全然眠った気がしない。目覚めると身体が重い。食べてすぐ横になっても、胃が働いているため熟睡できないのだろうか。

国営放送という職場柄、イラン人スタッフの多くは断食をしている。同じラジオ日本語課のイラン人スタッフたちに、朝食に何を食べてきているのか尋ねると、意外にも、普通の朝食だという。ナンにバターやジャム、牛乳、それに甘いナツメヤシの実を加える。軽いながらも、栄養価の高いものを食べるのがコツらしい。私はといえば、その日の空腹を恐れるあまり、腹いっぱい夕食並みの朝食を取っていた。中には私同様ボリュームのある朝食を取っているイラン人もいるが、その場合は、朝食後眠らず、お祈りをしたり、コーランを読んだりして夜明けまで過ごすのだという。

午後7時過ぎになると、私の勤め先では、すべての部署に、断食明けの軽食エフタールが配られる。パック入り牛乳に、ナツメヤシの実や、揚げ菓子バーミエ、それにサフランで色付けしたライスプディングが付く。一日の断食を終え、本格的に夕食を食べる前に、このエフタールで胃を慣らすのだが、日没のアザーンまでまだ少し時間があるので、まだ食べるわけにはいかない。

ラマザーン月の間は、残業もせず、7時半には退社し、自宅に向かう。近所の商店街では、食堂や生ジュース屋が開店準備を始め、昼間とは打って変わって活気付いている。菓子折りを抱えて家路を急ぐ人たちの姿が目立つ。油で揚げ、シロップをまぶした各種の甘いお菓子をエフタールで食べるのだ。

食堂やファーストフード店の店先には、アーシュレシテと呼ばれるハーブと豆の煮込みや、ハリームと呼ばれる七面鳥の煮込みの大なべが置かれ、行列が出来ている。ラマザーン月に多く見られる料理で、これもエフタールで食す。一カ月に渡って、日中、すべての飲食店は店を閉じるが、夕方から売り出すこのラマザーン月専用料理で、十分、いや、普段以上の収益があるという。

午後8時28分、テヘランの断食明けをテレビで確認し、コップ一杯の甘い抹茶ミルクを飲み干す。
何はともあれ、3日目が終わった。空腹も乾きも耐えられる範囲だ。体調と睡眠を管理していくことが当面の課題だ。

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