イランのラマザン月等で出されるハリーム。羊を骨ごと数時間煮込んだスープ。シナモン、砂糖をかける(撮影:筆者)


◆断食月7日目

断食月ラマザーンが始まって最初の一週間は、まだ体調管理が思うようにできていない人のために、新聞などでラマザーン月の健康管理に関する記事をよく見かける。ただでさえ厳しい断食月が、最も日照時間の長い真夏と重なる今年は(イスラム暦の1年は西暦より11日短いため、行事も毎年11日ずつずれてゆく)、特に水分の補給に気をつけなければならない。

あるインターネットの記事には、日没の断食明けから翌朝の断食開始までに、コップ8杯から12杯の水を飲みなさいと書かれている。それはちょうど、断食でなければ日中の間に飲んでいるはずの水分に相当する。乾燥肌の人や、唇が荒れやすい人には特に注意が促されている。

断食明けの軽食エフタールで取る食べ物にも注意が必要だ。まずは糖分を摂取すべきだが、砂糖からではなく、ハチミツやナツメヤシの実といった自然の糖分を摂取するのが望ましい。エフタールでよく食されるハーブの煮込みアーシュレシテは油っぽいので、実はエフタールにはあまり適さないという。

この一週間、特にそうした事柄に注意してきた訳ではなかったが、幸い体調を崩すことなくやってこれた。強いてあげるなら、職場で襲ってくる睡魔だ。ただの眠気ではなく、めまいのようなものを伴う異常な睡魔だ。断食故コーヒーを飲むこともタバコを吸うことも出来ないため対処のしようがない。それは私だけではないようで、社内では、あちこちで机につっぷして寝ている人がいる。みんな眠いのだ。断食に伴う体調変化に身体が順応するまで1週間ほどかかるというが、現在、この睡魔が収まる気配はない。

そしてもう一つは、心の問題だ。空腹は確実に人をいらいらさせる。赤の他人にそれをぶつけることはないが、家族にはついつまらないことで声を荒げてしまいそうになる。

心をコントロールし、本能的欲求に打ち勝ち、忍耐強さを身に付けることは、ラマザーン月にイスラム教徒に課せられた重要な課題だ。忍耐強くあるだけではなく、進んで善行に努めるべきとされているが、言うほど容易いものではない。自分など所詮、空調の効いた部屋でデスクワークをしているだけで、その苦労など、炎天下で肉体労働をしている人の比ではないというのに。(続く)

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