平壌出身のスニと農村青年のスンホ。2001年1月延辺朝鮮族自治州で石丸次郎撮影

執念でスニを連れてきたスンホ

中国の田舎の農村青年スンホと、北朝鮮の首都平壌出身のスニ。その馴れ初めを、スンホは次のように語ってくれた。

「豆満江(国境の川)近くに住む知り合いから『数日前に朝鮮の可愛らしいアガシ(娘)が川を渡ってきたけど、会ってみるか』と連絡が来てすっ飛んでいったんです。その家に着いてみると、漢民族の男が一人来ていて、『自分も嫁さんが欲しい』と、そこの主人と交渉している最中でした。2000元ぐらいの謝礼を払うと言ってました。

で、僕はというと、金は一文もないけれど、見て気に入ったので連れて行きたい。同じ民族だし大切にするからと言ったわけです。まあ、要するにその漢民族と取り合いになったわけですよ。その家の主人は金が欲しいんだけれど、僕が熱心に言うもんだから、スニ本人に決めさせることにしたんですね。

その家の主人はスニを売り飛ばそうと思っていたんだけれど、良心も残っていて本人に判断を任せることにした。スニは中国語がまったくわからないし、その漢民族が随分年も取っていたからでしょう、僕のところに来たいと言った。それで僕は、『金はいつか払うから』と言って、渋る主人を説得して、村に連れて帰ってきたってわけです」

一目惚れである。「嫁さん欲しい」という執念である。見方によっては、意思疎通もできない漢民族に売り飛ばされるところを助けたとも言えるし、横取りしたとも言えなくない。いや、出世払いで買ったか、ただでもらい受けた、と言うべきか。

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