モスクワに向かうシベリア鉄道車中の姜英子さん。2000年10月支援者撮影。

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李昌成さん一家の乗った満洲里発のシベリア鉄道国際列車は、30分ほど遅れてヤロスラヴリ駅のホームに滑り込んできた。

いた! 昌成さん、英子さん、スミ、そして同行のKさんが私を見つけ駆け寄ってきた。2ヵ月前に別れたばかりなのに、妙に懐かしい。道中の無事を互いに喜び合う。3人は、もう亡命が成功したかのように安心し切った表情だ。服装も荷物も軽装だ。ロシアに長居する考えがないことが窺われる。

宿舎の安ホテルで荷を解いてから、私はQ牧師から聞いたロシアの状況を説明しなければならなかった。

「3ヵ月、下手をすると1年隠れていなければならないそうです」
3人は揃って頭を垂れ、無言になってしまった。

緊迫の中ロ国境越え
黒竜江省ハルビンから乗り込んだ列車は、ロシアとの国境にある満洲里駅に停まると、乗客全員を降ろした。この満洲里駅で、ロシアに行く者は出国手続きをし、健康診断を受けなければならない。

出入国管理の公安にパスポートを預け、昌成さん、妻の英子さん、娘のスミは、Kさんの後ろについて検疫所の建物に入り、健康診断の列に並んだ。身長体重の測定、血液検査、聴診器による検査などが順番に行われていく。

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