《「戦争非協力宣言」を広めよう》
20040319_01_08.jpg米海軍空母キティホーク。横須賀米海軍基地。
撮影:ヨコスカ平和船団)
吉田 各労働組合に取材して、みなさんから聞いたのは、様ざまな個別法や憲法第19条の「思想及び良心の自由」などに基づいて、戦争協力拒否の法律的根拠はあるし、論陣も張れるということです。

事業者に政府の軍事協力要請を受け入れないよう申し入れたり、拒否権を認める労働協約づくりや労使の事前交渉などに向けた取り組みもおこなっています。最後の手段としてはストライキも辞さないといいます。

ただ一番の問題として、みなさんが言われるのは世論ですね。「有事なのになんで拒否するのか」「国のために協力するのは当たり前だ」という声が大きくなって、労働者を「非国民視」するような空気が世の中に広まると、拒否・非協力を通すのは実際問題として難しくなるわけです。

有事3法ができてから、政府は「国民は必要な協力をするよう努めるものとする」とか「地方公共団体、指定公共機関は必要な措置を実施する責務を有する」とか、武力攻撃事態法の文言を出して、「国のために協力するのは当たり前だ」という空気づくりをしています。

本当は強制力はないけれど、「業務従事命令」の「命令」という言葉によって、従わなければいけないものなんだというイメージの刷り込みが社会に広がっていきます。
そうすると、周囲からの目に見えない圧力を感じて、当事者の労働者や自治体職員は「NO」と言えなくなる。戦争非協力の闘いをしても、それを支える世論や市民運動、マスコミの声がないと、結果的には支えきれないのではないかと、みなさん危惧しています。

新倉 2001年に、米海軍の空母キティホークが横須賀からアフガニスタン攻撃に出て行くとき、政府はマスコミ各社に取材用ヘリコプターを飛ばさないよう要請しました。「空母がテロに遭ったらどうするのだ」という政府側の言葉の前に、すべてのマスコミは沈黙してしまうのです。

単なるお願いでも、ものの見事に従ってしまう。現実の戦争協力もこういうかたちになると思いますね。
政府が求めているのは、命令で仕方なく動く人びとではなく、自発的に協力する人びとです。そういう社会風潮なんです。

吉田 そうなってしまうと恐ろしいですね。自衛隊がイラクに送られている現在、そうした社会風潮のきざしも表れています。では、それに対してどのように対抗してゆけばいいのでしょうか?

新倉 いざそのときになって慌てて支えようとしたり、世論づくりをしようとしたりしても、なかなかできるものではありません。今のうちに「戦争協力を拒否できる」ということを当たり前のこと、当然の権利にしておくべきなんです。

日頃から、「いざとなったら、私たちはこんな根拠に基づいて、こういう方法で対応します」と明らかにしておき、地域でそれを支える人たちと協力関係をつくっていく。労働組合が声を上げ、市民はそれを支える。たとえば、横須賀市職労が「拒否できる」と明るく言っていることは、ひとつの方向として大切なことだと思いますね。

日本政府も、アメリカの政府と軍も平時が大事だと考えています。民間港にたくさん米軍の艦艇を入港させることも、平時のうちに前例を積み上げて、既成事実づくりをし、戦時のときにも自由に使えるよう準備しているわけです。

だから平時が大切なんです。民間企業や自治体、地域で「戦争非協力宣言」を広め、非協力の水位を上げていくことが、有事法制を空洞化させ、発動させないことにつながります。
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