支出85万円、収入20万円の取材
それではなぜ収益を出せないのか。
いま北朝鮮と並び、もっともニュース価値の高い現場であるアフガンとイラクを例にとって、最近行った取材の収支決算を見てみよう。

まず、今年の8月、映像ジャーナリストとして、初めて本格的なアフガン取材(1カ月間)を行った白川徹(23)の収支は以下の通りである。
支出の合計は約85万6000円。
内訳は飛行機代(成田・カブール往復)14万円、
機材費(デジカメ、ビデオカメラ、三脚など)30万円、
消耗品(ビデオテープなど)2万円、
現地での宿泊費(1日40ドル×30日)14万円、
食費(1日5ドル×30日)1万8000円、
通訳代(1日30ドル×30日)11万円、
移動費(1日30ドル×30日)11万円、
諸経費(1日5ドル×30日)1万8000円。
収入の合計はいまのところ約20万円。

発表媒体は、「DAYS JAPAN」、「自然と人間」、「平和新聞」、「記録」、「アエラ」、「週刊金曜日」などの雑誌で、おもにフォトストーリーのページに掲載。加えてラジオ(ニッポン放送)のニュース番組への出演。

テレビには売れなかったが、折しも、韓国人ボランティアの誘拐事件やテロ特措法関連など、アフガン情勢への関心が高まったときでもあり、駆け出しのジャーナリストとしては上々の滑り出しといえる。

それでも、雑誌の原稿料(400字一枚当たり4000円~8000円程度)や写真使用料(一枚あたり5000円~1万5000円程度)、ページ単価(1ページあたり1万円~3万円程度)は、ここ20年間、まったく上がっていないので、いくつかの雑誌に同時に発表しても、原稿料は全部合わせても10数万円のみ。

また、原稿を書くのに費やした日数の費用は出ないので、取材の準備を始めてから、帰国後、原稿を書き終えるまでの2ヶ月半の総収入は約20万円ということになる。
結局、経費だけをみても今回のアフガン取材の赤字は60数万円にのぼる。アルバイトで生計を立てている白川にとって、この金銭的な負担は重い。

「経済的には予想以上に厳しくて、困惑しています。次の取材費を稼ぐために本来の仕事とは関係のないアルバイトをしなければならない。それも精神的には苦痛です」
(敬称略) (つづく)

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