何の実績もない若造の正恩氏は、祖父と父親の威光だけで後継の座に就こうとしている。
ところが、北朝鮮国内の空気は冷ややかである。このばかばかしい権力世襲を積極的に支持する雰囲気は、一般民衆にはもちろん、党の幹部たちにも希薄である。

しかし、金正日総書記とその周辺にとっては、何が何でも正恩後継を軌道に乗せなければならないという焦りがある。また、支配層の中では正恩氏への忠誠心競争が始まっており、正恩氏後継に力を尽くしているかアピールしなければ、それこそ命取りになる。
総連を担当する平壌の幹部たちは、政治的に不安定なこの時期に、正恩氏への忠誠が足りないと判断されると粛清されかねない。
日本の総連系の学校が、金日成、金正日から遠ざかるということは、正恩後継を至上命題とする今の平壌の緊張した政治状況からは、あってはならないことなのである。

筆者は授業料無償化から朝鮮高校を除外することに反対である。朝鮮学校に通う子供と親は、拉致問題や金正日政権の独裁政治とは、直接的に何の関連も責任もない。まして、この度の砲撃事件とは何の関わりもない。
その当の朝鮮学校は、今回の無償化除外問題とは別に、非常に困難な状況が近年続いている。70年前後の最盛期には、全国約160校に4万人に近い学生・生徒数を誇っていたが、現在では75%減の8500人程度になってしまった。

その原因は、在日朝鮮人の子供の数自体が減少していることや、公立学校に比べて授業料負担が重い、卒業後、日本社会で不利な取り扱いを受ける部分があるということもあるが、在日の親が、北朝鮮一辺倒の教育内容や閉鎖性を嫌う傾向が強まっていることが一番大きい。
朝鮮学校離れが一気に進んだのは、02年に金正日総書記が拉致犯罪を認めたこと契機だった。

自らは朝鮮学校を卒業した親たちが、北朝鮮と総連に対する忠誠心教育に時代錯誤を感じ、ずっと朝鮮学校コミュニティーで過ごすことで世界が狭くなることを心配するようになった。英語や国際化教育の弱さを理由に挙げる人もいる。
全国の朝鮮学校を実質的に運営している朝鮮総連は、北朝鮮の日本における公民組織として二つの性格を持っている。
一つは朝鮮労働党の日本支部という性格(総連中央の幹部たちは金正日政権の忠実な下僕たちである)。
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