画面に一人の兵士がお腹を押さえて出てくる(画面に現れる直前に分隊長に腹を殴られたようで、「ドス」という音が記録されている)。分隊長は脚を膝蹴りし、その兵士は腹を押さえたまま屈みこんでしまう(写真4、5)。
乱暴を見かねた将校が制止する声。

「おい! おい! 何で殴るんだ? やめろ!」
栄養失調の兵士たちに向かって、将校が命令する。
「おい、お前たち、そこで大人しく座っていろ」。
分隊長に対して、この将校が続けて言う。

「もうすぐ目的地に着くというのに、なんで殴ったりするんだ? ややこしくするな。そうでなくても体の具合が悪いのに」。
ク・グァンホ記者は、その場にいた地元住民に尋ねる。

ク:どこの軍隊ですか?
住民A:わかりません。

ク 見慣れない連中ですね。
その次にク記者は、先ほど命令していた将校(写真6)にも尋ねる。

ク:兵士たちは病人ですか? 結核ですか?
将校:......違うな。
ク・グァンホ記者は、この将校が答えをはぐらかすのであきらめて、栄養失調の兵士たちに近づいていく。

ビデオカメラは次のような将校の声を記録している。
「分隊長は×××(聞き取れない)。この付近にじっとしていろ。うろうろとしていると、警務に見つかるかもしれないからな。隠れていろ」。
ク・グァンホ記者は、その場にいた地元住民男性のそばにしゃがみ込み、彼の話を聞く(写真7)。
住民B:病人のようだな。

ク:病人でしょうね......、おぞましい。栄養失調ですよね?
住民B:工兵局の連中だと......。

ク:工兵局か。工兵局の制服はあんなでしたっけ?
住民B:「対象建設」(国家的に重要な建物や施設の建設)をする兵士たちだってさ。
ク・グァンホ記者は撮影を続けながら現場を立ち去る。

<飢える朝鮮人民軍、その実態と構造>一覧

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