空襲被害者たちが一審判決を前に。2011年12月

 

あの悔しい1審判決から半年、大阪大空襲の被害者や遺族が国に謝罪と賠償を求めた「大阪空襲訴訟」の控訴審が6月11日から大阪高裁で始まった。

矢野宏(新聞うずみ火)
国は旧軍人・軍属とその家族に年間1兆円の恩給や年金を支給しているが、民間の空襲被害者には補償していない。戦争という国の存亡にかかわる非常事態のもとでは、国民は等しく耐えねばならないという「戦争損害受忍論」を主張してきたからだ。

原告21人は空襲当時、0歳から15歳。国が進めた戦争によって傷害を負ったり、かけがえのない肉親を失って孤児になったりした人である。
原告側は「戦争損害受忍論を民間の空襲被害者にだけ押しつけるのは、法の下の平等を定めた憲法14条に違反している」などと主張、2008年12月8日に集団提訴した。

以来、原告らは証言台に立ち、自らの空襲体験やその後の苦難を訴えてきた。弁護団も、空襲の最中であっても市民に逃げることを禁じ、消火活動を義務付けた「防空法」の存在を明らかにして、「空襲被害は避けられなかった偶然の被害ではなく、国が選んだ政策の結果として生じた」と主張した。

そして迎えた11年12月7日の判決。大阪地裁は「軍人・軍属は国の意思を実現するために戦地に赴くなどの職務を行い、原告との差異は明らかに不合理とは言えない」などと、原告の訴えを棄却した。
判決では、戦争損害受忍論は一言も触れなかった。防空法についても事実を認定されたが、判決には生かされなかった。

4月25日には大阪に先行して提訴した「東京大空襲訴訟」の控訴審判決があり、原告の訴えは棄却されている。それでも、大阪空襲訴訟の原告たちが控訴したのは「このままでは死ねない。もう二度と私たちのような思いをさせたくない」という思いからだ。身体を張った「反戦運動」を支えていただきたい。