多くの人で賑わう市中心にある牡丹(モラン)市場。(2011年6月牡丹峰[モランボン]区域 ク・グァンホ撮影)


談:ク・グァンホ記者
取材:石丸次郎 リ・ジンス
整理:石丸次郎

わがリムジンガンのク・グァンホ記者は平壌(ピョンヤン)市の××区域に住んでいる。職業は明かせないのだが、勤める企業所には金を納めて出勤したことに して暇をもらい、もっぱら商売行為で生計を立てている。中国吉林省に親戚がいて支援してくれることもあり、警備が厳しくなった国境の川・豆満江を越えてし ばしば中国と往来している。

平壌は今、二〇一二年四月を「強盛国家」建設の節目とするとして、中心部で大規模な都市再開発事業が進められている(記事「映像取材ルポ・平壌の裏通りを行く」を参照)。それは経済混乱が続く中でも、平壌のショウウインドウ機能だけはますます充実させようという目論見だ。そこに実際に住む人々の暮らしは、今どのようなものなのか、ク・グァンホ記者に語ってもらった。

常に「準備された状態」の首都

Q:平壌には少なくない外国人が訪れます。中国人の観光客は昨年は一三万人に達し、日本人、欧米人も行く。平壌市民は笑顔で外国人を迎え、メディアに紹介される街並みはきれいに整っている。実際はどうなのでしょう?

ク:平壌はいつも「準備された状態」です。人々は(外国人との接触の仕方を)練習させられているから、身なりもきれいで笑顔なんです。 でも本当にいい服を着ている人は、二〇〜三〇%いるかな。残り七〇%の平壌市民は、(外国人が来るから)行事に参加しろと言われるから仕方なく参加しに行 き、花束を振れと言われるから仕方なく振っていますが、ちゃんとした服を着たくても持っていないので、人から借りてきれいにして行くんです。(動員され る)行事の場に参加しなければ、平壌から追放されることになるかもしれないので、いやいや行くんです。 とはいっても、平壌市民は地方とは違って服装にはたいそう気を使います。街を歩く庶民たちもそんなにみすぼらしくはしていません。

Q:平壌と地方都市では生活水準が異なりますか?

ク:そりゃ差がありますよ。やはり首都は首都です。平壌は人口が多いので物もよく売れる。商売して儲ける人も多いし、高級品を買う層もいる。

Q:平壌市民のプライドのようなものはありますか?

ク:そう、あると思いますね。服装にしても、まともなものを食べられなくても、恥ずかしくないものを着ようとする人が多いです。食べてしまえば腹に 何が入っているか分からないでしょう。今日はおかゆを食べて出てきたのか、豪華な食事をしてきたのか、他人にはわからない。腹の中は遅れをとっても、見て くれは遅れを取りたくないという気持ちがあります。身なりは体面だから。けれど小ぎれいな服を着ている人でも、家に行ってみると何にもないとか、うわっと 驚くような粗末なひどいものを食べているケースは一杯あります。
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