農閑期の土地使用のみ許可 巨大企業所解体の動きも
黄海南道に住む取材協力者・鄭明秀(チョン・ミョンス)氏が、金正恩時代の初年度を振り返るインタビュー連載の2回目。黄海道の経済状況について語ってもらった。2012年になって広く流布され住民たちも期待していた経済改善措置も、一部を除き進捗はなかなか見えてこないようだ。

(参考写真)赤ん坊を背負った女性がトウモロコシ畑で落ちた実を拾っている。(2008年10月殷栗郡 シム・ウィチョン撮影)

(参考写真)赤ん坊を背負った女性がトウモロコシ畑で落ちた実を拾っている。(2008年10月殷栗郡 シム・ウィチョン撮影)

 

◆黄海南道の農村では空いた土地が使えるように

:昨年半ばを過ぎたあたりから、朝鮮の人々の間では新しい経済措置があるという話で持ちきりでした。農業部門では、これまでの集団主義農業から、農地を個人に分け与えて個人農制度を導入するとか、労働者の月給を物価の実勢に合わせて上昇させるなどの噂が飛び交いましたね。黄海南道の農村では、農民たちを集めて講演(幹部による説明)が開かれたという話もありました。黄海道では今、この「新政策」は履行されていますか?
:農地に関してですが、個人に田畑を分け与えるという噂は、現実にはありませんでした。ですが、私が調べたところ、黄海南道では国家が一部の土地使用についての「配慮」を行ったようです。収穫後の田畑にムギを植えて、収穫は全て自由に処分してよいというがその内容です。

:なるほど。それは土地の分配とは違いますね。
:そうです。中国が過去行ったように、土地を個人に分け与えた訳ではありません。稲を収穫した後の畑を使わせるだけです。

:それは農民世帯ごとに使わせるということでしょうか。
:そうではなく、作業班(協同農場では生産品目ごとに作業班を作る。農場の規模によるが数十人~数百人になる)ごとにです。働ける農場員の頭数に合わせて畑の広さを決めたようです。

:ムギを植えるようにとのことですが、収穫したものを国に納める必要はないのでしょうか。
:ありません。自由に処分してよいという話でした。

:必要な種や肥料など営農資材も国から支給されるのでしょうか。
:種から肥料まで一切が自己負担です。多く肥料を施せば多く収穫できるし、そうでなければ収穫も少ないという、いわば実力制ですね。

:そのような制度が導入されたのは今回が始めてですか?
:かつて一時期やったことがありました。その時は、国に損失が多いと続きませんでした。

:いつのことですか?
:「苦難の行軍」(94年から始まった社会混乱期)の初期のころです。当時はトウモロコシ畑にはジャガイモを、水田にはムギを植えるようにしたんです。

しかしそうすると、肝心のトウモロコシと稲の収穫が減ってしまいました。ジャガイモの場合は先に植えるため、本来トウモロコシに施すべき肥料が回されてしまいます。肥料が十分にあれば、ジャガイモとトウモロコシの両方に使えるのでしょうが、そうはいきませんから。また、水田の場合には時期が合わなくなります。ムギを植える場合、収穫が6月から7月になるので、そこから稲を植えると十分に育つ時間が足りなくなって、結局のところ収穫が減るんです。土地にも栄養分は残っていませんしね。

:国庫に入る食糧が減らざるを得ませんね。政府としては、軍糧米や首都米が少なくなるのは避けたいでしょう。どれくらいで中止になったのでしょうか。
:1年か2年のうちには取りやめになったものと記憶しています。
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