◆金正恩1年は「50点」 住民はあてなき期待

:金正恩が政権の座に就いてもうすぐ1年が経ちます。周囲の人々の反応や噂を考えた場合、世間ではどの程度の評価を与えていると思いますか?
:そうですね、100点満点のうち50点を超えるぐらいでしょうか。

:なるほど、思ったよりも低くはないですね。
:彼に対し、「信心」を持っている人が少なくないんです。

:それはどんな人たちですか?
:主に農民たちですね。金正恩が若く、外国での経験が多いということから、西洋式に生活の水準を高めてくれるのではないかという期待を持っているんです。来年(2013年)から新しい経済政策を実施するという噂が広まってもいますし。さらに、1月(8日)の金正恩の誕生日に贈り物(特別配給)が配られるという話も聞こえてきます(実際には農村に特別配給はなかったようだ)。

:金正恩になって経済が良くなるかもしれない、という期待は今年(12年)一年、色々な人から聞きました。実際に何が変わったのでしょうか?
:1年という短い時間では何も変わりませんよ。それでも農村の人々が期待を抱いているのは感じます。

:良くなった点を一つ挙げると?
:大きな企業所を小さく解体して、各自で運営を正常化させるようにした動きなどは評価できるでしょう。

:黄海道ではたくさんの餓死者が出る一方、お金が万能の社会になり、強盗も増え長幼の序も失われるなど、社会秩序が崩壊したと見なす朝鮮の人も多くいます。あなたはどうお考えですか?
:どう見るかによりますが、今の状況を見る限り「このままでは、国が無くなるのが先か、それとも人がいくなるのが先か」と考えざるを得ません。まともに稼動している企業所がほとんどないし、ミサイルや核で国庫もすっからかんですから。

故金総書記の時代から苦しい生活を強いられてきた北朝鮮の農民にとっては、金正恩氏の初年度にこれといった生活面での改善がなく、また、他に明るい展望がまったく見えない中で、金正恩氏の「若さ」に、まだ淡い期待を捨てられないでいるというのが実際のところだろう。

「今まで騙され続けてきたから、これからも騙され続けるだけだ」と投げやりな想いを口にする住民も少なくなく、その「信心」も根拠は極めて薄弱なようである。「国が先か、人が先か」というチョン氏の言葉は、出口の見えない今の北朝鮮社会を見事に表現しているといえるだろう。(おわり)
(まとめ=李鎮洙、李蒼龍)
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