プルサーマル計画に関するテレビコマーシャルが、福島第一原発事故の前にはよく流れていた。しかし、プルサーマル計画やそこで使われるMOX燃料が どのようなものなのか知る人は少ない。日本のプルサーマル計画の現状について、京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム)

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん(中央正面)

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん(中央正面)

ラジオフォーラム(以下R):プルサーマル計画について教えて下さい。

小出:
プルサーマルという名前ですけれども、「プル」というのはプルトニウムのこと。「サーマル」というのは、いわゆる「熱」のことで す。少し専門的になりますが、現在使っている普通の原子力発電所は、熱中性子(サーマル・ニュートロン)を使ってウランを核分裂させていて、熱中性子炉と 呼ばれています。そして、その普通の原理炉でプルトニウムを燃やしてしまおうとする計画を「プルサーマル」と呼んでいます。

R:普通の原子炉はウランを燃やすために設計されたものですが、その普通の原子炉でプルトニウムを混ぜたもの、つまりMOX燃料を燃やすとどうなりますか。

小出:もちろん危険は増加します。

R:ただでさえ危険な原子炉に、更に危険度をアップさせて、無理やりプルサーマルをするというのはなぜなのでしょう。何かそうせざるを得ない理由があるからでしょうか?

小出:そうです。プルトニウムというのは、原爆の材料だった物質なのですが、それをこの日本という国は高速増殖炉と呼ばれる原子炉で燃やすとずっと言ってきました。
そして、日本はプルトニウムを取り出すための再処理という技術を持っていませんでしたので、イギリスとフランスに頼んで、日本の原子力発電所で生まれた使 用済みの燃料をそれらの国に送って再処理してもらい、プルトニウムを分離して取り出してもらって来たのです。高速増殖炉というのは、日本では「もんじゅ」 という小さな実験炉を作ろうとしていますが、未だに動いてもいないのです。もんじゅは動いていませんし、他の高速増殖炉も一台もありませんので、分離して しまったプルトニウムを燃やす手段が日本にはありません。

しかし、プルトニウムは原爆の材料です。日本というこの国は、使い道のないプルトニウムを取り出して、懐に入れてしまったという状態になっているのです。

R:それでは国際社会から、あなたのところは核兵器を作るためにプルトニウムを持っているのですかと疑われないためにも、燃やさざるを得ないということですか。

小出:そうです。皆さんは、世界の他の国々が日本をどのように見ているとお考えになっているのでしょうか。世界 の国々は、日本というこの国を、そんなに立派な国とは思っていないのですね。何十年か前までは、アジアの国々を侵略して、たくさんの人に苦難を味わわせた 国だったわけですし、現在も「平和利用」だと言いながら、原爆材料になるプルトニウムを着々と懐に入れてきています。