福島第一原発事故を機に、ドイツは脱原発に向けて舵を切り、2022年までに原発をゼロにすると決めた。一方、原発事故を起こした日本は、脱原発ど ころか原発回帰の姿勢を明確にし、各地で再稼動の動きを活発化させている。この違いはどこから来るものなのか。私たちがドイツから学べることは何なのか。 京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

◇石炭による火力発電と再生可能エネルギー

ラジオフォーラム(以下R):ドイツで石炭火力発電の復権が進んでいるというのは本当でしょうか。

小出:本当です。もともとドイツという国は石炭が豊富で、従来から石炭を火力発電で使ってきた国です。原子力をとにかくやめるために、これからは石炭と再生可能エネルギーで乗り切ろうとしているのです。

R:具体的にはどのような方法があるのでしょうか。

小出:いわゆるコジェネ(Co-Generation=熱電併給)とか、コンバインドサイクル発電といった技術 がどんどん開発されてきていますので、石炭も従来のように環境破壊的ではなくなってきているのです。それをドイツは視野に入れて、石炭も使いながらやって いこうと考えているのだと思います。

R:日本もそうした新しい火力発電技術に転換していく動きが見られます。ドイツ政府も、こうした新たな発電技術によって、将来的に脱原発が可能だと計算した上で決断したということですね。

小出:日本の政治家あるいは経済界の方たちの動きを見ていると、余りにも視野が狭すぎると私は思います。目先の 事だけを考えて、原油の輸入代金が上がってしまったら困るとか、電気代が少し上がったら経済がまた成長できなくなるとかですね。そういう風に日本の人たち は考えてしまうのですが、ドイツの場合はそうではないのです。遥か彼方を見ながら、どういう戦略でやっていけばいいかということを考えながらやっているの です。