◆日本は核武装できるのか。

R:その日米原子力協定の第5条に、「核燃料の再処理ができる」とあります。第6条には「日米政府はウランの濃 縮を20パーセントまで認める」とありまして、さらに、「日米が同意すれば20パーセント以上の濃縮も可能だ」というふうに書かれているのですが、これは 明らかに核兵器製造を意図した条項ではありませんか?

小出:そうです。もともとウランという物質は、地球上にあるわけですけれども、そのウランの中には、核分裂する能力を持ったウランと、核分裂する能力を持っていない、いわゆる役立たずのウランの2種類があります。

R:ウラン235とウラン238のことですね。

小出:そうです。核分裂する能力を持っているウラン235の方は、天然ウラン全体の0.7パーセントしかありま せん。ですから、天然ウランに火をつけることすら難しいということになります。現在、日本にある原子力発電所では、0.7パーセントのウラン235を4 パーセントあるいは5パーセントぐらいまで濃縮して、ようやくにして原子炉の中で燃やしているのです。

R:核分裂をするウラン235でも、ウラン濃縮工場で濃縮作業をしないと使えないということですね。

小出:そういうことです。ただし、もし原爆などを製造しようとするのであれば、4パーセント、5パーセントなどというものではダメです。核分裂性のウランが90%ぐらいは欲しいということで、もっともっと濃縮ということをやらなければいけません。

R:日本の濃縮工場では、何パーセントまで濃縮できるのでしょうか。

小出:濃縮工場というものを造ってしまえば、その運用というものはどうでもできます。4パーセント、5パーセントの濃縮工場を造ってしまえば、もちろん20パーセントの濃縮ウランを造ることも可能ですし、運用によっては90パーセントの濃縮ウランを造ることも可能なのです。

R:ということは、北朝鮮やイランから見ますと、日本はもうすでに20パーセント以上の濃縮を可能とする協定を結んでいるのに、なんで自分たちばかり責められるのだ、ということになりませんか?

小出:当然、そうです。ですから、イランはもともと、自分たちがやっているのは原子力の平和利用なのであって、 「自分の国で研究用の原子炉を動かすために20パーセントの濃縮ウランが必要だからやっているだけだ」とはじめから一貫してそう言っているのですね。それ は、いわゆる主権国家として当然の権利なのであって、誰からも妨害されるいわれはないと言っているわけで、私もその通りだと思います。

ただし、4パーセントであろうと20パーセントであろうと、濃縮ウランを作る能力を持ってしまえば、90パーセントの濃縮ウランを作ることも出来て しまう。そういう技術ですから、米国あるいはヨーロッパから見れば、イランという国にそんなものを持たせたくはないでしょう。そういう国際政治上の力学 で、今イランが非難されているわけです。日本は米国の属国なわけですから、米国としては「日本はまあいいよ」と言ってくれているのです。
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