原子力の安全性に警告を発してきた京都大学原子炉実験所の小出裕章さんが、10月、大阪市内にて講演を行った。小出さんは「国は責任をとらず、福島の事故を忘れさせようとしている」と訴える。【森山和彦、栗原佳子 新聞うずみ火】

京都大学原子炉実験所の小出裕章さんの講演では原子力の安全性に改めて警告を発した。(2014年10月大阪市内にて撮影・樋口元義)

京都大学原子炉実験所の小出裕章さんの講演では原子力の安全性に改めて警告を発した。(2014年10月大阪市内にて撮影・樋口元義)

◆子どもたちを守りたい

私はなんとしても子供たちの被曝だけは減らしたいと思っています。一番の理由は、原子力を選択したことへの責任がないということです。そして子ども たちは被曝に敏感です。毎日、成長していく子どもたちが被爆の危険度を一手に引き受けさせられてしまう。なんとしても、子供たちを被曝から守ることが、事 故を引き起こしてしまった大人の責任だろうと思います。

人間は年をとっていくと被曝にどんどん鈍感になっていきます。生き物としては衰えていくわけですし、細胞分裂もしないから被曝をして細胞に傷がつい てもそれが拡大していくという危険が、まずは減ります。被曝は必ず危険を伴いますが、年をとればとるだけ危険度は減ります。そして私も含めて、こういう人 たちが原子力の暴走を日本で許してきた張本人なんです。

しかし、この国はそれでもまだまだ原子力をやると言っています。その本当の理由は何なのでしょうか。みなさんは原子力発電と言うと平和利用だと思われているかもしれませんが、それは間違いです。本音は違う。核兵器を持ちたいということから原子力に入っていったのです。

『わが国の外交政策大綱』という1969年の外務省の資料にはこう書いてあります。《核兵器については、NPT(核不拡散条約)に参加すると否とに かかわらず、当面核兵器は保有しない政策はとるが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持するとともに、これに対する掣肘を受けないよう配慮 する》と。