8月、鹿児島県の川内原発1号機が再稼働された。次に再稼働の可能性が高いのは高浜原発だが、こちらは仮差し止めの判決がでているので再稼働は容易ではな い。その次に可能性が高いと言われているのが愛媛県の伊方原発だ。かつて伊方原発訴訟に関わったこともある元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんに、 この原発の危険性について聞いた。(ラジオフォーラム

元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さん

元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さん

◆住民5000人、避難ルートなし

ラジオフォーラム(以下R):原子力規制委員会は5月20日、伊方原発3号機が新規制基準を満たしているという審査案を了承しましたが、伊方原発が抱えている独自の問題点はどういうところにあるのでしょうか。

小出:原子力発電所というものは、どこもそれぞれ独自の問題を抱えています。例えば、伊方原子力発電所の場合で すが、この原発は、四国から九州に向かって伸びている佐多岬(愛媛県)という細長い半島の付け根のところに立地しています。この佐多岬は、一番太い所でも 幅6キロ程度で、長さは40キロもあり、細長く九州に向かって伸びているのです。それの付け根の所にある原子力発電所でもし事故が起きたなら、岬の先の方 にいる人たちは一体どうやって逃げることができるのだろうかと私は昔から思っていました。

福島第一原子力発電所の事故が事実として起きた今、もう到底、岬の先端の方の人たちは逃げることができないだろうと、私は思うようになりました。こ の佐多岬には約5000人を超える人が住んでいるはずです。もし、その人たちが逃げるとすれば、何か船に乗って九州に逃げるというやり方しか多分ないだろ うと思います。

R:そういう避難計画というのは、愛媛県ないし伊方町は作っているのでしょうか。

小出:要するにこれから作ることになるのでしょう。けれども、一番初めに新規制基準に適合されたと認められた川 内原子力発電所の場合でさえ、もう到底逃げることなんかできないということを、鹿児島県の知事自身が認めてしまうという状態になったわけです。伊方の場合 にはもっと厳しい状況になるので、逃げることはできないだろうと思います。

R:鹿児島県知事は、原発再稼働にかなり前向きな人でしたけれども、愛媛県の中村知事はどういう態度なのでしょうか。

小出:今のところ曖昧な態度ですのでどうなるのかは予断を許しません。けれども、基本的には原子力発電所を立地 されてしまった自治体というのは、原子力発電所によって麻薬患者にされたと私は言っているのですけれども、さまざまなお金でがんじがらめに縛られてしまっ ていますので、これからも認める方向に行くのだろうと私は心配しています。

R:伊方町長はもう前のめり、つまり、再稼働して欲しいという立場なのですね。

小出:はい。残念ながらそうです。

R:周辺自治体はどういう姿勢ですか。

小出:もし意見を言えるようになれば、あれこれと意見を言い出すだろうと思いますけれども、川内原子力発電所の 場合も、立地自治体である薩摩川内市と鹿児島県の同意だけあればいいということにされてしまったわけです。伊方原子力発電所の場合も伊方町と愛媛県さえ 「再稼働してもいい」と言えば、あとの自治体は無視されるという可能性が高いと思います。