8月末に福島県民健康調査における甲状腺がんなどのデータが公開された。そのデータによると、福島第一原発事故後、38万5千人の子ども達を調べたとこ ろ、甲状腺がんの子どもが103人確定したという。果たして、この甲状腺がんは原発事故の影響なのか。この問題について、元京都大学原子炉実験所・助教の 小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム

元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さん

元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さん

ラジオフォーラム(以下R):先日発表された健康調査の結果について、小出さんはどう思われますか。

小出:私自身はこのニュースを聞いてあまり驚きませんでした。非常に巨大な事故が福島第一原子力発電所で起きた わけですし、大量の放射性物質が環境に噴き出されて、子どもたちが生きている場所を汚染してしまったわけです。そうなれば、どんなことが起きても不思議で はないと私は初めから思っていましたし、きちんと調査をすればするだけ、さまざまな病気が確認できるだろうと思ってきました。

甲状腺がんというのは、チェルノブイリの事故の時もそうでしたが、一番現れやすい病気です。そのため、甲状腺がんがどんどん増えてきたということ自体については、あまり驚きませんでした。
むしろ私が驚いたのは、これほど大量に子どもの甲状腺がんが出ているのに、原子力を進めようとしている国あるいは福島県に囲われている学者たちが放射線被 曝との因果関係をはじめから否定し、「原子力発電所の事故とは関係ない」というような意見を述べていることに大変驚きました。

R:通常、甲状腺がんは30万人中1人ぐらいだとか、100万人中3人だとか言われています。38万人中105人も出たら、これはどう考えても因果関係あるとしか思えないのですが。

小出:私自身は、恐らくそうだろうと思います。百歩譲ってそうでない場合があるとしても、それはきちんと確かめるまでは因果関係がないなんてことを言ってしまってはいけません。
少なくともこれまでは、子どもの甲状腺がんというのは30万人に1人、あるいは100万人に2、3人とか言われてきたわけで、たった38万人を調べて 130人のがんが出てくるということは、やはり、これまでの常識から考えると異常に高いのです。まずは因果関係をきちんと調べるということが大事だと思い ます。調べた上でものを言うというのが学問のはずなのですけれども、国の方の専門家はそうではなくて、まずは「関係ありません」というところから始まって しまうのですね。

R:彼らはどういう根拠で因果関係がないと断定したのでしょうか。

小出:彼らの言い分としては、これまでは甲状腺がんというのは積極的に調べなかったから、100万人に1人、あ るいは10万人に1人とかその程度しか見つからなかったけれども、今回の福島の場合には、とにかく徹底的に調べようとしてしらみつぶしに調べてきた。だか ら、今までは見つからなかったような甲状腺がんも、今は見つかっているのだというのです。
そう言うのであれば、今までは少なくとも徹底的に調査をしたことがないと彼ら自身が認めているわけですから、まずは徹底的な調査をするということが科学的な態度にならなければいけないと思います。