政界引退を明言したにもかかわらず、「大阪維新の会」の代表に就いた橋下徹氏。発言覆すことが頻繁で信頼落とした。(写真提供アイ・アジア)

政界引退を明言したにもかかわらず、「大阪維新の会」の代表に就いた橋下徹氏。発言覆すことが頻繁で信頼落とした。(写真提供アイ・アジア)

 

◆「改革」うたう右派......
安部首相ら官邸サイドは一貫して橋下氏らの応援団だった。菅官房長官は住民投票の攻防のさなか、大阪府連の姿勢について「全く理解できない」と突き放し た。安倍首相は「都構想」に理解を示し、維新側もHPに「首相も賛意を示している」旨を記した(HPの記述は現在もそのまま)。一方の橋下氏は住民投票を 「改憲の国民投票の予行演習」とも発言して安倍政権を後押ししてきた。

そもそも橋下氏らは、国政政党を結党しようとした際、当時野党だった安倍氏を、党首に担ごうとしたことがあった。松井氏は日本会議地方議員連盟に属 しており、歴史修正主義的なスタンスでも、安倍氏らと親和性が高い。維新というと、第3極などのイメージで「改革派」的に報じられてきたが、実は、特に大 阪の場合は、安倍政権に近い「右派」といっていい。

その橋下氏らによって展開された維新政治の約8年。検証が必要なのはいうまでもない。教育一つを例にとっても、様々な歪みが生じている。阪大の小野 田正利教授(教育学)によれば、今年度の教員採用試験倍率は京都市が4・4倍、神戸市が4・6倍なのに対し、大阪市は2・0倍と極端に低い。小野田教授は 維新が中心となって成立させた府市の教育基本条例の影響を指摘、「大阪の教育は危機的状況に直面している」と嘆く。

「大阪都構想」反対を訴える市民集会。今年5月に住民投票が行われ、反対票が上回り、特別区の設置は否決された (大阪市で撮影・栗原佳子)

「大阪都構想」反対を訴える市民集会。今年5月に住民投票が行われ、反対票が上回り、特別区の設置は否決された (大阪市で撮影・栗原佳子)

 

「都構想」に一貫して反対してきた京大大学院の藤井聡教授(公共政策論)は橋下維新政治を「ブラック・デモクラシー」と結論づけ、警鐘を鳴らす。「議論を 無視した『多数決至上主義』と結託したデモクラシー。真実や善や正論がすべて踏みにじられ、『悪が徹底的に正当化』される全体主義」だと。

そんな橋下氏の国政転身説や閣僚「重用」説は、政界引退を公言した後もくすぶり続ける。橋下氏自身、離党後自身のツイッターに「政治家が引退したあとの人生について、いちいち国民に約束する話ではないし公約ではない」と意味深な書き込みをしている。

再び大阪市長居公園での「大阪維新の会」街頭演説。「ハシモトさん、辞めないで~」「帰ってきて~」。声援が飛ぶ中、橋下氏は満面の笑みを浮かべ、 聴衆を煙に巻いた。「過去に戻っちゃダメですよ。僕は民間人になりますけど、9年前の大阪に戻るのなら、僕がまたやらなければと思ってしまいますよ!」
安倍――橋下両氏の連携でいいのか。ダブル選はますます重要な選挙となりそうだ。了
【栗原佳子/新聞うずみ火】