5月に36年ぶりに開かれる労働党大会を控え、金正恩政権は「70日戦闘」(※1)を宣布し、住民統制が強化されている。特に、無断欠勤者、無職者(職場離脱者)に対しては、公安機関が摘発のために家々を回るなど厳しい取締りを実施。住民たちの不満が高まっていると、北朝鮮内部の取材協力者が伝えてきた。また、「70日戦闘」の期間中、当局は毎月1000ウォンを銀行に貯金することを住民に強要、不興を買っているという。(取材:カン・ジウォン/整理:ベク・チャンリョン)

職場離脱して「70日戦闘」に参加しない者には短期強制労働が科されている。写真は労働現場に連れて行かれる「労働鍛錬隊」の収容者。2008年9月黄海南道東ヘジュにてシム・ウィチョン撮影(アジアプレス)

職場離脱して「70日戦闘」に参加しない者には短期強制労働が科されている。写真は労働現場に連れて行かれる「労働鍛錬隊」の収容者。2008年9月黄海南道東ヘジュにてシム・ウィチョン撮影(アジアプレス)

 

去る3月8日、咸鏡北道に住むアジアプレスの取材協力者A氏は、「地方政府当局者が『70日戦闘』期間中は例外なく職場に出勤するよう求めている」として、次のように現地の雰囲気を伝えた。

「(出勤しても)やる仕事もないのに、毎日のように家々を回っては『無職者』と『無断欠勤者』を見つけ出して労働鍛練隊に送っている」

北朝鮮では、すべての国民は中学校を卒業すると、軍入隊者、大学進学者、主婦を除いて、何らかの職場に籍を置いて出勤しなければならない。しかし現状は、ほとんどの職場で経済悪化のために給与支払いと食糧配給が途絶しており、職場を勝手に離脱して個人で経済活動をする者が後を絶たない。

当局は、この「職場離脱者」を不法な「無職」と規定して取り締まってきたが、「70戦闘」期間が始まると厳しく取締りに臨んでいるという。

一方で、お金がある人は、一定の金額を納めて「70日戦闘」から除外される場合もあるという。取材協力者A氏は、「仕事に出られない人に対しては、『金を出すことで70日戦闘に参加せよ』と一人当たりに60万ウォン(約70米ドル)出せと要求している」と証言した。

当局による強制的な金と物資の供出要求と、無報酬の労働動員に苦しむ住民たちは、「70日戦闘」という追加負担を抱え込むことになり、不満の声が高まっているという。大きな国家的事業のたびに「支援金」の名目で住民から金を取立てるのは、北朝鮮で繰り返されてきたことである。
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