◆「子ども返せ」と親たちが集団抗議

A氏が続ける。
「検閲に引っかかると、男女関係なく家に連絡もさせずに突撃隊事務所に送っている。帰宅しない子どもを心配した親たちが保安署(警察)に行くと、『青年同盟に行ってみろ』と言われ、それで初めて行方が分かる」
咸鏡北道の別の取材協力者C氏に調査を依頼したところ、12日に次のような連絡がきた。
「子どもが捕えられて親が黙っているはずがない。○○郡の党事務所の前に毎日親たちが集まって、『子どもを返してくれ』と泣いたり喚いたりしている。4月2日には親が15人ほど集まって集団抗議のようになった。

保安員や幹部、金持ちの家の子供の場合には、突撃隊に留め置いていることを党から親に知らせて罰金80万ウォン(約1万1000円)で帰宅させている。それで貧しい親たちは『金も力もない家の子供たちは荷物のように引きずって行っていいのか』と慟哭しながら抗議している。娘が捕まった知り合いは、党事務所で『子どもの教育をちゃんとしろ。会いたければ「6.18突撃隊」に面会に行け』と言われたそうだ」

「6.18突撃隊」どんなところなのだろうか。協力者たちは次のように説明する。
「連れて行かれると6カ月間は働かなければならない。軍隊のように部隊生活だ。最近は突撃隊に行こうという人間がいなくて、青年同盟で風紀取締りやって若者を狩り出している」(前出B氏)

「貧弱な飯に塩汁しか出ないのに、突貫工事の現場で長時間働かされるので、よれよれの半死のようになってしまう。(突撃隊の)こんな無理な動員は初めて見る。各地で組織的にやっているのを見ると、上からの指示でやっているのだと思う」(前出A氏)

◆党大会に向け突貫工事に動員か

それでは、なぜ、今、このような強引なやり方で若者を動員労働に駆り立てるのだろうか? 理由の一つは、やはり五月に控えた労働党大会まで、国内の綱紀の乱れを正そうということだろう。
この20年間、自然発生的に市場経済が拡大した北朝鮮では、外国の文化・情報の流入もあって、北朝鮮当局のいう「黄色文化」(資本主義退廃文化)が拡散した。特に若者が韓国や中国のファションを追う傾向はとめどがない。

金正恩氏が主宰する36年ぶりの党大会を前に、社会秩序維持に粗相があっては、批判、叱責の対象になりかねない。党機関で若者を標的に風紀検査を徹底させていると思われる。

二つ目は、「突撃隊」の人員不足だ。90年代飢饉の影響で若年人口が減っている上…

建設現場で働く突撃隊員の女性。やはり3~5年建設労働に従事する。栄養失調で生理が止まる人が多いという。2011年8月大同江区域にてク・グァンホ撮影(アジアプレス)

建設現場で働く突撃隊員の女性。やはり3~5年建設労働に従事する。栄養失調で生理が止まる人が多いという。2011年8月大同江区域にてク・グァンホ撮影(アジアプレス)

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