8月31日、堤が決壊し水が溢れた豆満江。右側が北朝鮮の南陽。(吉林新聞HPより引用)

8月31日、堤が決壊し水が溢れた豆満江。右側が北朝鮮の南陽。(吉林新聞HPより引用)

 

北朝鮮北東部の豆満江一帯を8月末に襲った豪雨で甚大な被害が発生しているようだが、現地住民の間から政府の無策に対する批判の声が上がっていると、被害 地域に住む複数の取材協力者が伝えてきた。豆満江を挟んで国境を接する中国側で人命救助や捜索が迅速に行われているのを見て反発が生まれている模様だ。 (カン・ジウォン/ペク・チャンリョン)

咸鏡北道の豆満江沿線に住む複数の取材協力者が、自身が居住する地区の状況と、被害が大きかった穏城(オンソン)郡南陽(ナミャン)労働者区などの知人に電話をかけて、被災状況を調べ8日伝えてきた。

取材協力者Aさんは次のように言う。
「今回の洪水では、南陽で多くの死者が出たが、『下流のセビョル郡では6人が死んだ、柳多島(豆満江の中州の島)でも2人が死んだ』など、電話で尋ねる人ごとに、大勢が死亡、行方不明になっていると言っている」。

中流の会寧(フェリョン)市に住む別の取材協力者B氏も
「自分の所では、国境警備隊の警戒詰所ごと兵士7人が流されていった。下流の穏城郡の3カ所で兵士4人の遺体が発見されたと聞いた。また、中国側にも死体 が流れ着いているが、中国側が収容して引き渡しくれたそうだ。流されて行方不明になった人が多いが、見つかった死体は、それに比べてまだ少ない」と述べ た。

6日の朝鮮中央通信は、今回の水害の人命被害について、60人死亡25人行方不明と伝えていたが、11日には労働党中央委員会のメッセージ(10日付け) を報道。豆満江付近で解放後最悪の豪雨によって数万世帯が浸水したと伝えた。また吉林新聞などの中国メディアも、延辺地区の深刻な水害被害について伝えて おり、北朝鮮の人命、建物、農耕地の被害が甚大なのは間違いないと思われる。
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