韓国Gallup社が4月7日に発表した世論調査結果。上から文在寅、安哲秀、洪準杓(ホン・ジュンピョ)自由韓国党候補者、劉承旼(ユ・スンミン)正しい政党候補者、沈相奵(シム・サンジョン)正義党候補者。灰色は3月28~30日、オレンジ色が4月4~6日の調査結果。

 

投票日までひと月を切り、選挙戦は文在寅と安哲秀の「2強」中心の争いへと移行し、両陣営は乱打戦の様相を呈し始めた。両社の争点をまとめた。(「韓国大統領選2017」徐台教)

支持率拮抗で新局面
国民の党の安哲秀(アン・チョルス、55)候補の支持率は、ここ一週間で爆発的に伸びてきた。

国会に議席を持つ五大政党の候補者が出揃った4月4日の時点での世論調査では(REALMETER社が3日発表分)、安哲秀候補の支持率は22.7%にとどまり「今後要注目」といった消極的な見方が目立っていた。

それがわずか3日後の世論調査(Gallup社、7日発表)では、安候補の支持率は35%と、1位の共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン、64)候補の38%に僅差で迫る結果となった。

さらに10日、韓国日報が発表した世論調査でも文候補37.7%、安候補37.0%となり、完全に並ぶ結果になった。

上記の結果はいずれも5人の候補が最後まで選挙戦を戦った場合の数値だ。候補者の一本化が進むと仮定し、文在寅対安哲秀の一騎打ちの場合の支持度調査では、安候補が優勢となっている。

調査ごとに異なるが、通常、世論調査の誤差は±2~3%とされる。このため、両氏のどちらがトップなのか分からなくなり、「混戦」との認識が有権者のあいだに広まっている。

なお、乱発される世論調査をどう受け止め、どこまで信頼するべきかといった議論がここ数日、韓国内で盛んになっている。選挙の公正さに関わる内容であるため、次回の記事でまとめたい。

記者の懇親クラブ「寛勲クラブ」主催の討論会で発言する安哲秀候補。4月6日ソ・テギョ撮影。

 

ネジを巻きなおす文在寅陣営「選挙戦はこれから」
世論の変化に文在寅候補陣営は焦りを隠せない。昨年10月末に「朴槿恵-崔順実ゲート」の追及が始まって以降、次期大統領の最有力候補となり2位と大差をつけて1位を守り続け「大勢」とされてきたが、この認識を改める必要にかられている。

10日、共に民主党内部に、文在寅候補の選挙対策本部が正式に発足した。常任選対委員長を務める同党の秋美愛(チュ・ミエ)代表はこの選対会議の場で「選挙は今日これから」と述べ、「この間、私たちが安住してきた『大勢論』や『政権交代当為論』と決別する」と決意を新たにした。

さらに「受権政党(選挙により権力を手にする政党の意)として、『準備してきた政策』と『安定した国政経験』、『断固とした改革の意思』をもって、『偽の政権交代』を克服し、『真の政権交代』を成し遂げる時」と今回の選挙を再定義した。
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