「安哲秀は第二の朴槿恵だ」
「偽の政権交代」というのは、安哲秀候補を批判するフレーズだ。論理構成はこうだ。

まず、李明博・朴槿恵という保守政権を支持してきた層を取り込んでいる安候補を、「旧勢力=積弊に迎合する勢力」と位置付ける。

次いで、朴槿恵大統領を頂点とする大汚職スキャンダルに始まり「ろうそく革命」を経て行われることになった今回の大統領選挙の意義を強調することで、安候補を「不適格」とするものだ。

文候補陣営は連日、安候補と国民の党叩きに熱を上げている。ざっと挙げるだけでも「予備選での市民動員疑惑」、「暴力団との関係疑惑」、「夫人・金美暻教授の就職あっせん疑惑」、「長女の財産非公開疑惑」などがある。なお、これらの疑惑は、現時点ではあくまで疑惑であり、真相究明が現在進行形で行われていることを断っておきたい。

次々に持ち上がる(持ち上げる)疑惑を受け、10日には文在寅氏の側近、宋永吉(ソン・ヨンギル)議員が安候補を「第二の朴槿恵になる可能性がある」と評するなど、批判のトーンは高くなる一方だ。

文在寅候補。支持者の結束は固いが、新しい支持層の獲得に苦しんでいる。同氏フェイスブックより引用。

戦略を変えるべきとの声も
ただ、こうした「本物かニセモノか」、「安哲秀は積弊勢力」という選挙戦の枠組み設定(フレーム)が適切であるかについては、党内からも批判の声が上がっている。

いくら相手を叩いても支持者は増えないため、「敵を叩く戦略」ではなく、「広く主張する戦略」を採用し、文在寅候補に付きまとう「拡張性(拡がり)の無さ」を積極的に克服していくべきだという指摘だ。実際に文候補の支持率は数か月間40%弱にとどまっている。

こうした声を意識してか、文在寅候補は8日、予備選を共に戦った安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事、李在明(イ・ジェミョン)城南市長、崔星(チェ・ソン)高陽市長と一献傾ける場を設け、メディアに親睦をアピールした。

安熙正知事は予備選で広く「大連立」を呼び掛け、話題を呼んだ。文在寅氏の持つ強硬で頑固なイメージを和らげ、安哲秀支持に流れたとされる、安熙正支持の保守層の取り込みを狙ったものだ。
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