8月17日に開催された「石綿ばく露者の健康管理に関する検討会」で環境省が公表した新たなアスベスト検診案に対し、自治体や被害者団体から疑問や批判が相次いでいる。(井部正之撮影)

 

◆胸膜プラークの検出率、CT検査のほうがレントゲン検査より2倍高いのだが・・・

じつは同省は2014年3月、今回の方針案とほとんど同じ案を一度提示し、自治体や被害者団体から猛反発を受けて現在の方式に落ち着いた経緯がある。

今回の新たな検診案はCT検査費用が無料である以外は前回提示した案とほぼ同じといってよい。

そもそもアスベスト検診において、曝露歴がある人はCT検査を初回に受けるようしていたのは、レントゲン検査におけるアスベスト曝露の指標である「胸膜プラーク」の見落としが多いためだ。そのことは8月17日の会議でも議論になったことであり、同省もよく知っているはずである。

同省石綿健康被害対策室の三山江穂主査は「現在の検診だと毎回CT検査を受けているかたもいて、放射線曝露を減らすべきとの指摘も委員の先生から受けている」「いきなりCT検査となると自治体側でちょっととなることが多々ある。最初を既存検診とすることで入口を広げて受けられるかたを増やしたい」などと説明。CT検査を減らしたいのではないと強調する。

片岡氏は新検診案をこう批判する。

「胸膜プラークの検出率はCT検査のほうがレントゲン検査より2倍高い。実際に肺がん検診で医師がレントゲン検査によって胸膜プラークを見逃したケースは大阪府河内長野市ですでに経験ずみ。間違いなく見落としが起こります。肺がん検診はリスクが低いひとも含めて全体におこなうスクリーニングの検診です。それに対しアスベスト検診は、工場の近くに住んでいたりしてアスベストを吸っている可能性が高い人たちが多い。そういう曝露歴のはっきりしている、リスクの高い人に対しては精度の高い検診をしなければいけない。少なくともいままでのアスベスト検診のやり方をしなくては必ず見落としが出ることになります」

環境省によれば、現在のアスベスト検診の仕組みで実施するか、新たな検診案とするかは参加する自治体の自由だという。だが、すでに既存の肺がん検診ベースの新検診案ならやってもよいと意思表明している自治体もあると明かす。
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