中国との国境警備に動員された民間人。「労農赤衛隊」と思われる。銃を担いでいた。2017年9月末に平安北道を中国側からパク・ヨンミン撮影(アジアプレス)

12月22日に国連安全保障理事会で採択された北朝鮮に対する新たな制裁決議「2397号」。石油精製品の輸出を2016年比で年間50万バレルに制限する他、農産物や機械、鉱物類、木材なども禁輸対象となった。

既に石炭、繊維製品、鉄鉱石、海産物など主力輸出品は禁輸措置が取られており、金正恩政権にとって大幅な外貨収入減は避けられないだろう。

制裁に対する北朝鮮国内の動向はどうだろうか? 安保理決議が採択される直前の先週末、北部地域に住む取材協力者が伝えてきたところによると、中国への輸出が禁じられていない品目への転換が始まっているという。

「中国に輸出できるものに貿易会社も庶民も集中している。目立つのは漢方薬材料とカツラ加工だ。カツラは中国から材料を仕入れて賃加工する。給料は一カ月に100中国元(約1700円)程だが人が集まって来る。市場での商売が沈滞しているから」
取材協力者はこう伝える。
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漢方薬材料は中国から根強い需要がある。薬草や松の実などで、以前から北部地域では有力外貨稼ぎ品目だった。しかし、今回の制裁「2397号」では農産物も禁輸品に定められており、漢方薬材料がそこに含められる可能性もある。

カツラは、咸鏡北道にある12号教化所(刑務所)――通称全巨里(チョンゴリ)教化所で、女性収容者に作らせてきたが、それを一般にも拡大する動きが貿易機関で始まっているようだ。
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