写真・23年前、倒壊したビル1階で生き埋めになり、18時間後に救出されたが右足に負傷した岡田一男さん(2018年1月・神戸市東遊園地で撮影・矢野 宏/新聞うずみ火)

岡田さんは右のお尻一点で体重を支えていた。右わき腹にも痛みを覚え、呼吸するのも苦しくなった。このとき、肺に血がたまっていたのだ。

震災から16時間が過ぎたころ、隣の学校との境に立つフェンスを切る音が聞こえた。和歌山県田辺市のレスキュー隊だった。
 
2時間後、隊員たちはウィンチでコンクリートの梁を引き上げ、岡田さんを引き出した。
一命はとりとめたものの、無理な姿勢を続けていたため右足の感覚はない。圧迫されて壊死した筋肉細胞から毒性物質が血流を通じて全身に回る「クラッシュ症候群」だった。

手術で右のお尻の筋肉が3分の1ほどなくなり、急性じん不全と急性心不全も併発、入院生活は8カ月にも及ぶ。

右足に障害が残り、車いす生活も覚悟したが、2年間の懸命なリハビリで、杖に頼らなくても歩けるようになった。だが、かかとは今も動かず、痛みが残る。

岡田さんは生活のため警備会社に再就職した。右足のくるぶしから先を包帯できつく巻き、ギブス代わりにして出勤する。
「右足を杖やと思うと歩けるんです」(続き2を見る>>