(参考写真)金正恩時代になって最悪の電力難が続いている。写真は鴨緑江で洗濯する女性。2017年7月中国側から撮影石丸次郎(アジアプレス)

 

電力事情の悪化によって、役所や企業所から勝手に電気を引いて使う住民が増え、火災や感電事故が多発し、当局が対策に乗り出していることが分かった。咸鏡北道に住む取材協力者が実態を伝えてきた。(カン・ジウォン)

「住民への電気供給がほとんどないため、企業所や特殊機関(党、軍、警察、保衛部など)に供給される電気をこっそり引いて使い、火災や感電死、漏電などが多発している。5月初めには、会寧(フェリョン)市で漏電で倉庫が燃え、清津(チョンジン)市でも、住宅火災事故が頻繁に発生している。それで会寧(フェリョン)市の機関、企業所の電気工と配電部の幹部ら集めて、咸鏡北道の労働党幹部による対策会議が行われた」

咸鏡北道に住む取材協力者が、5月末にこのように伝えてきた。住民の電力事情が悪化したため、電気供給と施設を監督する配電部の権限が増し、不正行為が頻発していることが原因だという。

◆金取って電気を横流し

「電気が送られている機関や企業所所属の電気工たちは、金を受け取って住民にこっそり電気を回したり、電気泥棒に目をつぶったりしている。稼働している工場には、現在、1日に10時間程度の電気供給があるが、その時間の全ての電気を回す場合は、一世帯当たりひと月に200中国元、夕方の時間だけ回す場合は、50~100中国元ほどの金をとっている」
と、この取材協力者は語る。(100中国元は約1720円)  

住宅価格にも影響が出ている。電気を盗んで使える立地かどうかで値段が異なるのだという。
「幹部たちは盗電することができる機関、企業所の周辺に引っ越している。地下に電線を埋める方法で電気を盗んで引くので、道路まで破損している」
と、この取材協力者は述べた。

地方都市では、5月後半まで、住民居住地域に電気供給がまったくない「絶電地域」が広がっていた。その後若干の改善が見られ、地域によっては一日に数時間電気が来る所もあるようである。

深刻な電力難は地方だけだはない。4月末に平壌から中国に出国してきたビジネスマンは、アジアプレスの中国人メンバーに首都の劣悪な電気事情について次のように述べた。

「平壌市内でも差はある。私が住む〇〇区域は、昨年秋まで1日8時間程度は電気が来ていたのに、今年に入ってからはずっと3~4時間だけだ。親戚が市内の軍需工場がある区域で暮らしているが、そこは、金正恩(キム・ジョンウン)元帥が何度視察した所で、この数年間、ずっと24時間電気が供給されていたが、4月に行ってみたら1日7時間くらいにしか来ないと不平を言っていた」

アジアプレスでは 北朝鮮内部に中国の携帯電話を投入して連絡を取っている。

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